国立成育医療研究センター(世田谷区大蔵2)が4月25日、家族で宿泊可能な短期滞在型(医療型)の障害者福祉施設「もみじの家」をオープンする。
同センターは、国立小児病院と国立大蔵病院を統合し、2002年3月に開設された。病院と研究所が一体となり、健全な次世代を育成するための医療と研究を推進することを理念に掲げ、妊娠・授乳中の服薬に関する情報提供や、子どもたちの心のケアなど、小児・周産期医療にかかわるさまざまな取り組みを行っている。
「もみじの家」は、退院後に自宅で酸素吸入や人口呼吸器などの医療ケアを受けながら生活をする子どもと、その家族が共に過ごすことを目的とし、医療ケアや障害福祉サービスを提供する施設。重い病気や障害をもつ子どもと家族が楽しい時間を過ごすために、世界で最初に造られたという、英国発祥の子どもホスピス「ヘレン・ダグラス・ハウス」を手本にしているという。
イギリス在住の喜谷昌代さんが、同ホスピスでのボランティア活動を通して、素晴らしさに心を動かされ、日本でも同じような施設を作りたいとの思いと、退院後も医療的ケアを必要とする子どもとその家族への支援に取り組もうとする同センターの結論とが一つとなり、開設に至った。
同施設の居室には、3人部屋や家族で宿泊できる個室のほか、畳スペースのある部屋も用意。2階には、お絵かき、読書、ゲームなどができるプレイコーナーを設けるほか、光、音、香り、触感などの刺激によりリラックスできるセンサリールーム、音楽室、学習室など、滞在する子どもにとって遊んで楽しめるさまざまな設備を用意する。
同施設では、保育士をはじめ医師・看護師・介護福祉士やボランティアが連携して、利用者一人一人の心身の発達や情緒の安定を促していけるような遊びを提供し、成長・発達のサポートを行う。学習を継続しやすいよう同センター内の特別支援学校と連携を図り、学校の宿題のお手伝いや一人ひとりの興味・関心に合わせた学びの支援も行うという。
同センター担当者は「日本には、医療ケアなどの支援が必要な重い病気の子どもや家族が多くいる。もみじの家は、利用者に寄り添い良いサービスを提供し支援するための施設。私たちの思いや考え方、仕組みを全国的に広げていきたい。地域、そして全国から家族や子どものために何かできることはないかとの声も増えてきている。もし賛同していただければ、ぜひ参加してほしい」と呼び掛ける。
同施設の運営ボランティア募集は現在、第1期が終了し、今年夏に第2期募集を行う予定。寄付、および物品ギフトでの支援も呼び掛けている。
利用を検討している子ども、家族向け(医療ケアのある18歳以下対象)の施設見学会は、5月1日(10時~12時、13時~15時)、同5日(10時~12時、13時~15時)。先着20人。詳細と申し込みは「もみじの家」サイトへ。