見る・遊ぶ

静嘉堂文庫で朝鮮陶磁名品展-高麗茶碗、漆工芸品なども紹介

「青磁象嵌葡萄文瓢形水注」 高麗時代 12世紀後半~13世紀

「青磁象嵌葡萄文瓢形水注」 高麗時代 12世紀後半~13世紀

  • 0

  •  

 静嘉堂文庫美術館(世田谷区岡本2、TEL 03-3700-0007)で現在、企画展「朝鮮陶磁名品展」が開催されている。

[広告]

 朝鮮陶磁をテーマにした展覧会は、1992年の同館開館以来10年ぶり3回目。同展では、高麗(こうらい)時代(918年~1392年)から朝鮮時代(1392年~1910年)を中心に、韓国陶磁史の概略を、同館所蔵の高麗青磁、朝鮮時代の粉青(ふんせい)や白磁、青花磁器(染付)、日本の茶人たちが賞美した「高麗茶わん」を約80点、そのほか朝鮮時代の螺鈿(らでん)漆器や華角張(かかくばり)工芸など約10点を展示する。

 「高麗時代は、仏教の信仰があつく貴族文化が花開いた時代。『翡色(ひしょく)』と呼ばれる独特の青緑色をした『高麗青磁』が誕生した。素地(そじ)に文様部分を削り込み、そのへこんだ部分に赭土(あかつち)や白土を埋め込み、文様を表す『象嵌(ぞうがん)』呼ばれる技法が特徴」と同館担当者。「土の成分や焼成温度によって微妙に色が変わるが、全体が青緑色でないものもきれいに保管・伝承されており、『高麗青磁』がいかに高度な技術が要求され貴重なものとされていたかがうかがえる」とも。

 「朝鮮時代は、儒教を国家理念とし、清浄・潔白性・倹約などを人々に求めたこともあり、白い色彩への嗜好(しこう)が高まったとされている。こうした社会の変革や美意識の変化を受けて、陶磁器も白化粧を器面に施し、象嵌などで装飾後、灰青色の白磁釉などをかけて焼成する『粉青』と呼ばれる技法が主流となった。さらに時代が下ると、装飾の技法が工具による刻文から筆による絵文様へと大きく転換しているのが特徴」だという。

 「近年韓流ブームの影響もあって、韓国の陶磁史に興味がある方が増えている。本展では、韓国における窯址(あと)発掘調査や沈没船資料なども参考に、当館所蔵品の制作年代、産地などをの最新情報もあわせ展示している」

 開館時間は10時~16時30分(入場は16時まで)。月曜休館(祝日の場合は開館、翌火曜休館)。入場料は、一般=800円、高校生・大学生=500円、中学生以下無料。同館司書による列品解説も行う(10月8日・29日と11月5日=11時~、10月20日・11月17日・12月1日=14時~)。12月4日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース