静嘉堂文庫美術館(世田谷区岡本2)で現在、リニューアルオープンを記念したシリーズ展第2弾「茶の湯の美、煎茶の美」展が開催されている。
三菱創業者として知られる岩崎彌太郎の弟で、2代目社長を務めた岩崎彌之助と、その息子で4代目社長の岩崎小彌太の父子2代にわたる収集品を収蔵・展示する同館。所蔵品は国宝7点、重要文化財83点を含む和漢の古典籍約20万冊と東洋古美術品約6500点からなる。
2014年春から約1年半をかけ、施設内設備を中心とした大幅な改修と展示品の修繕を目的に休館していた同館は、昨年10月31日に再開した。同展は、点(た)てる茶の文化「茶の湯」と、淹(い)れる茶の文化「煎茶」の2つの喫茶文化をテーマに約140点を展示する。(一部展示物は前期・後期で入れ替えあり)。同館によると、煎茶道具の多数公開は15年ぶりという。
展示は「茶の湯」と「煎茶」の2部構成で行い、「茶の湯」では、戦国時代の武将・松永久秀が所持し、一国一城の価値に匹敵する名品として織田信長に献上した逸話で知られる、足利義満伝来の茶入れ「唐物茄子茶入 付藻茄子(つくもなす)」(別名・松永茄子)をはじめ、国宝の唐物茶わん「曜変天目(ようへんてんもく)」、重要文化財の「油滴(ゆてき)天目」「白磁蓮花文輪花水差(はくじれんかもんりんかみずさし」などを展示する。
「煎茶」では、側面に「中有智珠、使人不枯、列仙之儒、曼生銘」の17字が刻印され、紫泥(しでい)に大きな砂粒を混じたのが特徴とされる「松花泥茶銚(ちゃちょう)」や、「倶輪珠(ぐりんだま)」と称される形状の茶銚で、煎茶愛好家にとって最高品とされる「朱泥倶輪珠茶銚 大頭倶輪珠(おおずのぐりんだま)」、美しい豆緑色が特徴とされる「豆彩八仙文茗わん」、茶の量を計るために書斎の腕枕を転用したのが始まりといわれる「仙媒(せんばい)」などを展示する。
このほか関連イベントとして、2月6日に「唐物天目についての新知見」講演、同27日に「日本の煎茶文化について-静嘉堂所蔵の煎茶器にふれて-」講演、同4日・13日と3月5日・10日は担当学芸員による「列品解説」を行う。
開館時間は10時~16時30分(入館は16時まで)。月曜休館(3月21日は開館)。入場料は、一般=1,000円、高校生・大学生=700円、中学生以下無料。3月21日まで。