世田谷区の「宇奈根考古資料室」(世田谷区宇奈根1、TEL 03-3749-1212)で2月1日、第4回特別展「仙川中流域の縄文文化」が始まった。
今回の「目玉」は、新たに世田谷区指定有形文化財に指定された「独鈷(どっこ)石」。上祖師谷6丁目の「祖師谷大道北遺跡」から出土したもので、長さ14.3センチ、幅・厚さ共に3.4センチ、重さ300グラム。縄文時代晩期(約3500年前)のものと推定される。この石器は、それから約1800年後の古墳時代の住居の棚の上に置かれた状態で出土した点が大変珍しいという。
同資料室の学芸員寺田良喜さんは「古墳時代にも現代のような『コレクター』がいて、この石器を飾っていたのかも」と話す。完全な形のどっこ石は、都内でこの他に2点ほどしか確認されていない貴重なものだという。
併せて、縄文時代を中心にした土器・石器を約70点を展示。中にはヘビやフクロウ、カエルをモチーフにするなどデザインの凝った土器もある。アニミズムの影響もあるというが、「作り手のうまい下手もわかる」(寺田さん)。実際に一部の縄文土器に触れるコーナーも開設。「4000年の時を経た土器を実際に手に取ってほしい。見るだけの展示ではなく触ることで感じることがあるはず」とも。
普段は世田谷区内で発掘した土器や石器を洗浄・修復などの作業を行う場所のため一般には公開をしていない同施設。今後も年数回の公開を予定しており、夏には近隣の小学校から発掘された遺跡の展示を検討しているという。
公開時間は10時~16時。入場無料。今月29日まで。