世田谷・岡本の社会福祉施設「泉の家」(世田谷区岡本2)1階のカフェ「プース」で11月9日、地元・瀬田在住のカメラマン・佐藤あずささんの写真展「あなたと、日だまりで。」が始まった。
同施設の運営は、障がい福祉サービス事業を行う社会福祉法人・泉会。同会は1954(昭和29)年に戦傷元軍人を援護するために世田谷区大蔵で発足し、1964(昭和39)年に現在の場所に「生活保護授産施設」を開設した。2010年4月に事業所を改築、障がいを持つ世田谷区民を対象に3種の通所サービスと短期入所・日中一時事業を提供している。
同展を開催する「プース・カフェ」は、就労移行支援事業の「実践の場」として事業所改築に伴い開設。近隣住民の理解と支援を受けるため、さまざまなイベントやライブなどを実施し、積極的な情報発信と施設開放に取り組んでいる。
同施設から自転車で約5分の瀬田地域で生まれ育ち、現在も居住する佐藤さん。自身の子どもが通園した「瀬田幼稚園」(瀬田4)で、母親たちによる写真クラブ「Eye of Mothers」に参加したことをきっかけに2008年、デジタル一眼レフカメラを使って撮影活動を開始。同クラブでは、同園を運営する山科尚巳同園長の好意で慈眼寺内のホールを借りて、グループ写真展を開催したこともある。
子どもの卒園後も撮影活動を続けた佐藤さんは、2013年に第20回世田谷区民写真展で銀賞を受賞。地域メディアの取材を受けた縁で、同施設で講師を務めるクラフト作家の舟橋みつこさんと出会い、2011年10月から月に一度ほどのペースで同講座の様子を撮影し始めた。佐藤さんは人付き合いに疲れていた時、講座が行われているホール内に注ぐ日だまりの中で「入所者とスタッフが優しくまなざしを交わす一瞬、おちゃめな表情、くつろいだような笑顔、制作にいそしむ真剣な姿を見てファインダーをのぞく私も一緒に寝そべっているような心地よさを感じて和んだ」と振り返る。
展示作品はA3ノビサイズとA4サイズの約30点で、4年間の撮影期間に撮りためた作品の中から「大好きな写真」をセレクト。ほかに、被写体の入所者らから贈られた手書きの感謝状や舟橋さんのクラフト作品も並べる。「ほんわかする、時には心にぎゅっとくる気持ちを、皆さまにも感じていただけたら」と呼び掛ける。
同施設長の保坂俊晴さんは「普段、静かでくつろげる空間を提供しているこのカフェで、温かみのある佐藤さんの写真を一堂に紹介する機会」と話し、「この写真展をきっかけに、平日のお散歩がてら気軽に立ち寄ってもらえたら。テラス席はワンちゃんと一緒にくつろげる」とも。
カフェの営業時間は10時30分~15時30分。土曜・日曜定休。写真展は今月20日まで。