2010年11月から増改修工事のため休館していた五島美術館(世田谷区上野毛3、ハローダイヤル 03-5777-8600)が10月20日、2年ぶりに再開する。
同館は東京急行電鉄の初代会長・五島慶太氏が設立の構想を練り、1960(昭和35)年4月に開館した。約6000坪の敷地には吉田五十八氏設計の本館、庭園と散策路、明治時代に建てられた茶室「古経楼」(こきょうろう)や立礼席「冨士見亭」などがある。これまでに計374回の展覧会を開催、延べ入館者数は約225万人を数える。開館50年を機に2010年11月より一時休館していたが、展示スペースの拡張とケースや照明、空調設備など鑑賞環境を一新して再開。新たに「第2展示室」を設け総展示面積は約90坪の増床となった。
改修工事中に発生した昨年3月の東日本大震災により、「古経楼」の一部が被害を受けたため補強と修繕工事を施工したところ、同茶室地下から約7000年前の縄文時代のものと見られる遺跡(シジミおよびアサリなどの貝塚、住居跡)が発見された。そのため、同茶室を含む庭園の公開は来年春(予定)に延期され、今回は本館のみのお披露目となる。
新装開館を記念し、本年度は3月まで「時代の美-五島美術館・大東急記念文庫の精華」をテーマに、3つの時代と1つの地域として収蔵する国宝・重要文化財を中心に4部構成(第1部「奈良・平安編」、第2部「鎌倉・室町編」、第3部「桃山・江戸編」、第4部「中国・朝鮮編」)で展覧会を開く。同館が休館中の昨年、以前より敷地内にあった「大東急記念文庫」と合併したことから、両施設の収蔵品を展示する企画展が実現した。
第1部「奈良・平安編」では、唐よりもたらされた仏の教えを写した古写経「紺紙銀字華厳経 巻第五十」、「もののあわれ」の世界を絵と言葉でつづる国宝「源氏物語絵巻」(後期のみ展示)など、「文字に託した古代の人々のさまざまな思いを伝える作品」を中心に国宝3件、重要文化財31件を含む約70点を前期後期に分けて11月18日まで展示する。
開館時間は10時~17時(入館受け付けは30分前まで)。月曜休館。入館料は、一般=1,000円、高・大学生=700円、中学生以下無料。講演会やギャラリートークなどの詳細は同館ホームページで確認できる。