世田谷美術館(世田谷区砧公園1、TEL 03-3415-6011)で4月20日、「暮らしと美術と高島屋」展が始まった。主催は世田谷美術館(せたがや文化財団)。
酒井忠康同館長は、ポスターで「世田美が百貨店のフタを開けてみた。」とうたう同展について、「このキャッチコピーを高島屋から提案された時はびっくりしたが、まさに玉手箱を開いたような企画展になった」と話す。以前より「企業と美術」をテーマに持ち、2007年9月には「福原信三と美術と資生堂」展を開催した同館。今回は1831年(天保2)年の創業以来180余年にわたり、「人々の暮らしに美的な潤いや夢をもたらす『窓』として存在する『文化装置としての百貨店』」である高島屋に焦点を当てた。
同展では、「高島屋史料館」(大阪市)が所蔵する美術作品約5000点と史料約1万5000点の中から選んだ約720作品の展示を中心に、4つの領域「第1章 美術との出会い-美術染織・日本画・洋画・工芸」「第2章 暮らしとの出会い-百貨店建築・装飾・ウインドーディスプレイ・広告宣伝・出版」「第3章 継承と創生の出会い-上品会と百選会」「第4章 明日との出会い-高島屋の文化活動(鈴木弘治社長とセゾン文化財団理事長の辻井喬氏との対談)」により、同百貨店の複層的な表情を紹介する。
関連企画として、「百貨店百景」をテーマとした座談会(全3回・入場無料)、高島屋が衣装協力などで携わった1950年代の映画上映会「キヌタ・オデヲン座」(全3回・入場無料)や、「プロフェッショナル公開講座・おつつみいたします」などのワークショップを開く。同館レストラン「ル・ジャルダン」では期間中、「大人のお子様ランチ」(2,500円)を1日20食限定で提供する
一般公開前日に開かれた開会式典で、鈴木弘治同社長は「世界に類をみない日本の少子高齢化社会において200年目を迎える高島屋の未来をデッサンするためのヒントを、私自身同展からたくさん得た」とスピーチし、「百貨店もまちづくりにおける役割と視点が必要」と話した。特に「国内外の当社グループ従業員1万7000人と高島屋で買い物をするお客さまに見ていただき、高島屋という会社を深く理解してもらえたら」とも。
同社は同展を記念し今月下旬から6月にかけ日本橋店(東京都中央区)、横浜店、玉川店の3店舗で文化催事を同時催行する。玉川高島屋S・Cでは今月24日~5月12日、「高島屋史料館が語る 日本美術の輝き」を開く。
開館時間は10時~18時(入場は終了の30分前まで)。月曜休館(4月29日、5月6日は開館、共に翌火曜休館)。入場料は、一般=1,000円、65歳以上と高校生・大学生=800円、小中学生=500円。6月23日まで。