二子玉川商店街(世田谷区)で現在、「FutakoHeart Street(フタコハートストリート)2015」と題したアートパフォーマンスが展開されている。
今年4月末に30年超をかけた再開発事業の完成を迎えた同街。先進的な商業施設を有する一方で、個人商店が立ち並ぶ「昔ながらの商店街」として地元に根付く同商店街で、「参加型アートパフォーマンス」を通してその「懐の深い街」としての魅力をアピールする狙い。主催は「フタコのへや」(玉川3)と二子玉川商店街振興組合。
同イベント開催のきっかけは、6月13日に行われた「アンサンブル de アート~アールブリュットとアーティスト支援」。デザイン会社「グラディエ」(玉川2)が手掛ける社会貢献型商品ブランド「フタコラボ(futacolab)」が、「二子玉川が、多様性を尊ぶ地域であることの認知を進めたい」と、二子玉川ライズ・オフィス棟内「カタリストBA」や同商店街内ほか各所で障がい者アートに関するセミナー、障がい者アートを活用した商品の展示販売、アートワークショップを実施した。
同イベントで、マスキングテープを使った「ハートアート」のワークショップが同商店街内の交流スペース「フタコのへや」で開かれ、同店正面のガラスに掲示されたハートの作品を見た同店主の佐藤正一さん。数十種類のマスキングテープを切り貼りして制作されたハート形の作品の「色合いの無限さに多様性の内包を感じた」と話す。8月10日が「ハート」の日であることを思い付き、「その場で二子玉川を『ハートで満たす』イベントを企画し、関係者へ持ち掛けた」という。
同ワークショップでパフォーマンスを行っていたのは区内在住の「ハートアーティスト」西村公一さん。地域の小学校の特別支援学級の生徒を対象にワークショップやアート展示会を開催した経験を持ち、「ハートを使ったあらゆるアプローチでコミュニケーションする『ハートのアート』」を探し活動を続けている。
「フタコハートストリート」の内容は、大きく分けて3つ。西村さんが同商店街加盟店のうち26店舗の店頭へ順次「ハートのアート」作品を制作するアートパフォーマンス(1日~8日)、各店舗店頭に西村さんと一緒に大きなハートを制作する「オープンワークショップ」(9日)、商店街内のハートのある店を回る「スタンプラリー」(同23日)。
各店店頭では西村さんの「ハートアート」作品約100点の原画を展示・販売(10日~23日)。「フタコのへや」には仏壇・墓石・屋内墓苑(ぼえん)販売を手掛ける「はせがわ」(本社=文京区)の協力を得て制作された「ハートのある仏壇」が特別展示される。
同イベント開催に当たり、8月10日を「ハートの日」と制定した同商店街。「今後、毎年同日を中心とした参加型のイベントを通して商店街を活性化するとともに、さらにこの取り組みが人と人とが触れ合って心と心が通い合う商店街から街全体に広がったら」と佐藤さん。
猛暑が続く中8月1日から作業を開始、すでに15店の店頭へハートアートを制作した西村さん。作品は一店舗ずつ柄や色合いが異なるが、各店のスタッフとコミュニケーションを取りながら決めていくという。「まずお店の人にこの作品を喜んでもらい、その気持ちが来店者へ伝わって商店街全体が活気づくことが、自分にとってこのパフォーマンスの『成功』だと思っている」と思いを明かす。
9日のワークショップ開催時間は11時~18時。集合は「フタコのへや」。参加無料。「フタコハートストリート」は今月23日まで。