東急不動産は10月22日、世田谷区中町5丁目の旧「電電公社アパート」敷地跡に分譲マンションとシニア住宅の複合開発を行う「世田谷中町プロジェクト」の着工を発表した。
地元では「電電公社アパート」と呼ばれたNTT東日本の社宅があった同所。246と駒沢通りの間に位置し桜並木や豊かな自然が残る閑静な住宅街にある。同社はNTT東日本と定期借地権設定契約を締結し、今年春に約1万坪の敷地内に残されていた建物を解体。「地域包括ケアの拠点として、子育て期から高齢期までの多世代が気持ちよく暮らすことができる『世代循環型』の街づくり」を掲げ、今秋より同開発プロジェクトを本格的に始動した。
同社は住宅、オフィスビル、商業施設、リゾート、シニア住宅のほか、7月には最寄り駅の用賀駅前に「ホームクレール用賀」(用賀4)などアクティブシニア向け交流拠点を開くなどしてきた。同プロジェクトはこれまでに培ったネットワークを最大限に活用しながら「理想の暮らしをつくる新しい試み」とウェルネス事業本部ヘルスケア事業部シニア事業グループの木田英和さん。
開発プロジェクト内容は、第一種低層住居専用地域における70年の転定期借地権付き分譲マンション(地上4階建て6棟、252戸)と、シニア住宅(地上4階建て、シニアレジデンス=176戸、ケアレジデンス=75戸)。過去10年間で都内最大規模の開発で、完成は2017年春を予定する。
同プロジェクトは、東京都がサービス付き高齢者向け住宅の供給促進に向けて2014年から開始した、高齢者がさまざまな居住者と触れ合いながら暮らすことができる住宅のモデル整備事業「一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅整備事業」の第1号選定プロジェクトで同事業初の着工案件。
子育て期から高齢期に至るまで、「多世代の人々が交流し暮らしていくための住環境を創造すること」を目指し、敷地内にカルチャールームやコミュニティーカフェ、認可保育所を設けて「多世代交流の実現」を目指すほか、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所や看護小規模多機能型居宅介護事務所を併設し、NTT東日本と連携した地域包括ケアシステムの拠点整備、東京都市大学と連携した地域コミュニティーの形成や産学連携の街づくりを推進するなど、さまざまな世代が多彩な暮らし方を実現して住み続けることができる「世代循環型」の街づくりを行うという。
同プロジェクトは、周辺地域の既住の住民らとともに「世代循環型」の理想の街づくりを実現するため、米国・オレゴン州ポートランドへの特派員を一般に募集する。特派員は、住民の交流を促すコミュニティーが評価され「全米住みたい街No.1」に選ばれている同街で理想の暮らしを探し、現地をリポートする。応募資格は20歳以上の健康な人。詳細や申し込みは同プロジェクトサイトで確認できる。応募締め切りは11月15日。