昨年1月に閉園した「世田谷乗馬倶楽部」のポニー「月子」の青森での「婚活」が成功し、5月4日、牝馬を出産した。
同乗馬倶楽部を運営していたのは建築会社「東京組」(用賀4)。青森県十和田市出身の中野渡利八郎会長が「自然の少ない世田谷で動物に触れ合う機会を」と、社会貢献活動の一環として2009年に創設した。馬場を同区鎌田3丁目に置き、2011年より子どもを中心とした一般向けの乗馬レッスンや「日帰り乗馬ツアー」のほか、区内のイベントに参加するなどしていた。
同倶楽部を閉園するにあたり、飼育していたポニー2頭は昨年2月、中野渡会長の兄である利彦さんが運営する十和田市にある馬の動物園「十和田乗馬倶楽部」へ「帰郷」。「お年頃」だった月子(雌・9歳)は「お見合い」をし、見事お相手を見つけ「婚活」を成功させていた。
月子のお相手はクオーターホースの「アポロン」(11歳)。人に従順で温厚と言われる性格で運動能力も高いとされる種だという。同5月ごろから「妊活」を始め、約11カ月の妊娠期間を経て、今月4日21時45分、雌の子馬「ひかり」を出産した。命名は中野渡由美社長で由来は「月(子)と太陽(アポロン)からではないか」と同倶楽部の上村鮎子社長。
出産にも立ち会った上村さんによると、現在の月子の様子は「教育ママゴン」。帰郷したばかりのころは人恋しいそぶりを見せていたが、現在はとにかく「子育てに夢中」で、あれこれと世話を焼いていると話す。ひかりについては「とても賢く運動能力も高い。乗馬に適した、月子のような『花のある』馬になるのではないかと夢を広げている」とも。
世田谷で月子らの調教師を務めていた同責任者の蓮見みなみさんも、最近女児を出産。月子の帰郷に際し自身も同社を退職した際には「人の年齢に換算すると歳も近い月子との生涯の縁を感じる」と感慨深げだったが、くしくもほぼ同時期にママになったことになり「われながらウマいタイミングでした」と笑う。月子の出産が世田谷乗馬倶楽部の関係者や通っていた子どもたちとの旧交を温めるきっかけとなり、「月子とは離れても感謝することばかり。ぜひ月子親子やりんごのいる十和田へ足を運んでほしい」と呼び掛けた。
同乗馬倶楽部の再開や月子の今後の予定については未定。