世田谷・岡本の社会福祉施設「泉の家」(世田谷区岡本2、TEL 03-3417-3451)がレシピ開発し製造する「ワンちゃんのためのCookie」が好評だ。近隣の動物病院などへ販路を拡大している。
同商品は2009年5月に区立大蔵総合運動場で開催された「砧地区緑化まつり」で展示販売を始めた。同施設のスタッフらが「他にはないオリジナルの商品開発を」と、企画構想から半年をかけ製造販売にこぎ着けた。販売開始後もレシピ改良など試作を重ね、現在では「チーズ味」「パンプキン味」「さつまいも味」(いずれも一袋20グラム・150円)3種をそろえる。ほかに、「ベルヴェット動物病院」(上用賀3)の鈴木隆之院長の提案とアドバイスを受けて、アレルギーのある犬用に「ワンワンポキポキクッキー」(12グラム、200円)の製造販売も開始。アレルギーの原因になりやすい穀物、乳製品、鶏卵肉を使わずに芋類と牛レバーで「おいしく」仕上げたという。
作業に当たるのは、同施設が区民を対象に提供する障がい福祉サービス「就労継続支援B型事業」の利用者約20人と地域のボランティアスタッフ。生地を伸ばす、形抜き、袋詰めなどの作業で1日およそ20袋を製造する。出荷は受注からおよそ1週間を目安にしており、同施設の支援員・小林玲奈さんは「質を落としたくないので、一つ一つ丁寧に作っている」と話す。
現在、同商品は同動物病院のほか、「世田谷区手をつなぐ親の会」が運営し区内の障がい者施設38所の自主生産品を販売する「ショップぴあ喜多見」(喜多見9)など全5カ所へ納品している。いずれも、同施設のボランティアスタッフや同商品を置く施設内の「カフェ・プース」来店客などの紹介や口コミがきっかけで昨年末から広がりを見せているという。
小林さんは「周知、PR不足が一番の悩み」としながらも「一昨年の事業所の改築以降、少しずつ量販体制と環境が整ってきた」と話す。今後の目標に「出荷先など販路の拡大や新商品開発」を挙げ、「さまざまな方の力を借りながら、自助具の工夫を行って効率アップを図り生産量を増やして行くことで、作業スタッフの報酬の維持につなげたい」と意欲を見せる。