世田谷の環八通り沿い「瀬田中学校」交差点そばの古本店「古書 月世界」(世田谷区瀬田3、TEL 03-6805-6757)が1月17日、小説などを題材にしたハンドメード服飾商品の販売を始めた。
同店オーナーの赤堀晋介さんは、神保町の古書店での修業を経て独立。昨年10月に「自宅から自転車で通えて人通りがあり、書庫としても活用できる広さのある」同店を開いた。店名はフランスの作家ジュール・ヴェルヌが19世紀後半に発表した長編小説「月世界旅行」から「音の響きが気に入って」引用し、「三省堂『新明解国語辞典』で意味を調べたら、『期待されていた世界』とあった。当店もゆくゆくは『期待される』店に」との思いを込めた。
店舗面積は約16坪で、売り場面積は約5坪。取り扱う書籍数は約8000冊。オールジャンルで、ラインアップは「お客さまに立ち寄ってもらった際に関心の幅を広げてもらえるように」という赤堀さんならではの「選本眼」に基づいてセレクト。コミックや東欧の「飛び出す絵本」(2,500円~)から、日本探偵小説史上「三大奇書」の一つと評される「虚無への供物」(塔晶男、1万円)、SFまでとバラエティーに富むが、「硬派と言われる品ぞろえになってしまったかも」と赤堀さん。家族連れの多い地域性を鑑み「絵本など、親子で楽しめるものを増やしていきたい」とも。
17日から店内で取り扱いを始めたハンドメード商品は、都内の大学院でイギリス史を学ぶ「Natsuki Nakajima」さんが、昨年11月に立ち上げたオリジナルブランド「Sanatorium(サナトリウム)」。ブランドコンセプトは「すべての少女のために」で、森茉莉や尾崎翠、松田瓊子といった明治・大正時代の少女小説をモチーフに、クラシカルな服飾雑貨を制作している。現在は、天然石を使った「ブックマーク」「カメオブローチ」「リボンバレッタ」「花のリング」を2,000円前後で販売している。
地域住民の間では「いつが営業日なのか分からない、夜遅くまで開いているミステリアスな古本屋」として話題になっている同店。「通勤の帰途や、隣にあるコンビニエンスストアの買い物ついでに立ち寄ってもらえるように、比較的遅くまで営業している」と赤堀さん。「現在はホームページがなく、ツイッターで開店を通知している。いずれはオンラインショップも開設したい。買い取りも行っているのでお気軽に声を掛けてもらえれば」と呼び掛ける。
営業時間は火曜・木曜・金曜の11時~22時のほか不定期。水曜定休。