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祖師谷大蔵に多世代コミュニティー「笑恵館」-パン店、子育てサロンも

笑恵館のデッキスペースでくつろぐ地域の人々。手前の机は掘りごたつ。

笑恵館のデッキスペースでくつろぐ地域の人々。手前の机は掘りごたつ。

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 祖師谷大蔵駅近くの住宅街にある多世代型コミュニティースペース「笑恵館」(世田谷区砧6、TEL 03-3416-2308)で5月24日より、同所のオープンを祝う「SHO-KEI-KAN 展」が開かれる。

笑恵館クラブのみなさん:左が田名夢子代表

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 「笑恵館」は、約100坪の敷地内に木造一軒家と2階建てアパート、庭園で構成されている。母屋はもともと、洋画家・廣本季與丸(ひろもときよまる)の住宅兼アトリエギャラリーで、1940(昭和15)年ごろ彫刻家から譲り受け住み始めたという。

 同所オーナーで同コミュニティーを運営する「笑恵館クラブ」の田名夢子さんは廣本氏の長女。「リボンを結ぶ」(1954年)など多くの作品でモデルとして登場している田名さんは当時の砧地域の様子を、作品「緑陰・世田谷農婦」(1949年)に描かれた自宅裏庭の雑木林ののどかな風景にある通り、「町外れで大きな栗の木や松の木などが茂り、付近に家もなかったようだ」と話す。

 田名さんが同所を開設したのは「めったに会わない身内よりも、気心の知れた近所の他人とお付き合いしながら、住み慣れたまちで人生を全うしたいから」。子育てを終え高齢者となった時、それぞれ家庭を築いた子どもたちの生活拠点へ身を移すのではなく、これまで過ごしてきた自宅で「心配なく終末期を迎えるために必要なこと」を考えた。訪問診療・看護・介護など、在宅ケアの充実とそれに適した間取りの住宅面以外にも、高齢者だけではなく仕事や活動、遊びなどあらゆる目的を持つ人たちが顔見知りになり、緩やかにつながることのできる「地域の交流の場」の創設を思い立ったという。

 「誰もが笑顔になれる場所」の実現を目指し、2012年9月に「多世代型シェアハウス研究会」を開き、毎月議論を重ねた田名さん。あらためて「笑恵館」と命名し、シェアハウスだけにとどまらず自宅を活用した地域活動やビジネスについて、同所で誰でも自由に論じ活動に参加できる会員制の「笑恵館クラブ」を昨年7月に立ち上げた。現在、事務局には世田谷区産業振興公社の起業・創業支援事業「せたがやかやっく」のプロジェクトマネージャーを担当した松村拓也さんを迎え、年齢もバックグラウンドも多様な人が集っている。

 敷地内にはワンルーム6部屋のアパートを含む7世帯分の住居スペースのほか、一般利用が可能な食堂兼パン店「せたがやブレッドマーケット」(12時~18時、木曜・金曜定休)、子育てサロンやミニデイサービス用ルーム、掘りごたつのある屋外デッキスペース、菜園場などを設け、スペースレンタルなどの事業利用にも対応する。母屋内各所に廣本氏の作品が飾られており、絵画鑑賞を楽しむこともできる。

 「個人所有ならではの自由自在な運営を目指す」と田名さん。「当館の願いが実現したら、過密都市での住宅不足や空き家利用の問題、一人住まいの不安、そして終末期在宅ケアの推進などが一挙に解決される。土地や建物を子どもに相続するのではなく、会員で活用していただけるようになれたら」と将来の展望を明かす。

 同館のこれまでとこれからを紹介する「SHO-KEI-KAN 展」の開催時間は11時~19時。6月1日まで。オープニングパーティーは24日14時~21時の間、全4回各1時間。参加無料。

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