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五島美術館で「茶道具取合せ展」-茶室「古経楼」「富士見亭」改修後初の公開も

桃山時代の伊賀焼を代表する水指「古伊賀水指(こいがみずさし) 銘 破袋(やぶれぶくろ)」(重要文化財)

桃山時代の伊賀焼を代表する水指「古伊賀水指(こいがみずさし) 銘 破袋(やぶれぶくろ)」(重要文化財)

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 五島美術館(世田谷区上野毛3、TEL 03-5777-8600)は現在、「館蔵 茶道具取合せ展」を開催している。

一般公開する「冨士見亭」からみた景色(2月12日のみ)

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 同展は桃山時代の茶人古田織部(1543~1615年)の没後400年忌にちなみ、古田織部と利休七哲の蒲生氏郷(1556~1595年)や細川三斎(1563~1645年)ゆかりの茶道具や懐石道具など約70点を展観する。展示室には同館庭園内にある3つの茶室「古経楼」「松寿庵」「冨士見亭」の床の間の原寸模型をしつらえ、館蔵の茶道具コレクションから「名品」を選び展示している(会期中一部展示替えあり)。

 同展のポスターに用いた、桃山時代の伊賀焼を代表する水指「古伊賀水指(こいがみずさし) 銘 破袋(やぶれぶくろ)」(重要文化財)は、焼成時に大きな火割れが生じ、籠形の器形が破れてゆがんだ形状が特徴。古田織部が「今後これほどのものはないと思う」と手紙で表現した、桃山時代の茶人の好みが反映された伊賀藤堂家伝来の名品。

 ほかに、同館の学芸員砂澤祐子さんが「おすすめ作品」として挙げるのは「黒織部沓形(くろおりべくつがた)茶碗(わん) 銘 わらや」。桃山時代の武将茶人古田織部の好みを反映した陶器とされる「織部焼」は、「実は織部自身が指導したという確証はないのだが、『沓形茶碗』『沓茶碗』と呼ばれる、ろくろで成形した後に全体を故意に大きく楕円(だえん)形にゆがめた同器の形状が特徴の一つとされている」と砂澤さん。

 展示室2では「特集展示」として、茶道の手前道具一式を入れて持ち歩きに便利なようにした茶箱と茶籠を展示。個人蔵を中心とする江戸時代から近代までの、茶碗、茶入などの茶器、香合、茶杓(ちゃしゃく)、菓子を入れる振出(ふりだし)などを蒔絵(まきえ)の箱や藤組の籠などに収めた、さまざまな取り合わせの15点を集めた。砂澤さんは「ワンセットあれば野外でも旅先でもお点前ができる、玉手箱のような小さな空間に込められた茶人の心入れを楽しく参考にしていただければ」と観覧を呼び掛ける。

 同展に合わせ、普段は非公開の明治時代に建てられた茶室「古経楼」(こきょうろう)と、五島慶太翁が古材を使用して作らせた立礼席「冨士見亭」(ふじみてい)を2月12日に限り一般公開する。公開は2012年10月の同館リニューアルオープン後「初の試み」として行われた昨年5月21日に次いで2回目。また、同館ミュージアムショップでは同展を記念した「猿図・茶道具柄」と「館蔵名品柄」2種の「手ぬぐい布地グッズ」を販売している。巾着袋(864円)、手拭い(972円)、眼鏡ケース(2,376円)など。

 開館時間は10時~17時(入館受け付けは30分前まで)。月曜休館(1月12日は開館、13日休館)。入館料は、一般=1,000円、高・大学生=700円、中学生以下無料。2月15日まで。

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