世田谷区野毛の多摩川河川敷で2月14日、バレンタインデーに「ダイヤモンド富士」が観測された。
ダイヤモンド富士とは、富士山頂から太陽が昇る瞬間と夕日が沈む瞬間に、まるでダイヤモンドが輝くような光景が見られる現象を指し、国土交通省関東地方整備局のホームページでは「太陽が富士山の頂上の真ん中に重なった状態のもの」と定義されている。富士山が見える地域ならどこからでもダイヤモンド富士が見られるというわけではなく、富士山が東か西の方向に見える場所で気象条件が整えば年に2シーズンだけ、見ることができる。
二子玉川エリアは、成城から田園調布まで連なる国分寺崖線上に「富士」や「富士見」の名がつく坂や橋などの場所が多く、昔から多摩川と箱根連山を前景とした富士山の眺望が愛されて来た街。また、多摩川が東西に広がり南に空が開けていることから、周辺には「夕日」や「朝日」「ライズ」といった命名も多く見られ、「日の情景が美しい街」としても知られる。
ダイヤモンド富士の観測地として有名なのは、多摩河川敷各所のほかに、小田急線上に架かる「成城の富士見と不動橋」や岡本3丁目の「富士見坂」などがある。いずれも高層の建物からの眺望ではなく、住宅地や低地から眺められる「都市部では珍しいポイント」。最近では、昨年10月末に、2013年4月に開園した世田谷区立二子玉川公園の「眺望広場」で観測されたことから、一躍「新ダイヤモンドスポット」として知られるようになった。
今回、バレンタインデーにダイヤモンド富士が観測された場所は、同区野毛桜堤のバス停付近。第三京浜道路の高架下に位置する場所で、撮影に成功したのは区内羽根木在住の小林謙三さん。小林さんは主に休日、趣味で写真撮影の活動をしており、ダイヤモンド富士は2012年に別の場所で撮影に成功して以来、度々写真に収めているという。
当日は、さまざまな情報を元に同所を撮影ポイントとして割り出してスタンバイした。周辺にはほかに5人ほどのカメラマンがおり、日没時刻の17時が近づくと、頂上付近に雲が出てきて嘆く声もあった。それでも、「諦めずにカメラを構えていたら、最後の最後で雲が切れて美しいダイヤモンド富士が見られ、『やったー』と思った」と小林さん。
次に二子玉川エリアから「ダイヤモンド富士」を見られるのは10月末~11月初めの予定。