世田谷・桜新町の「長谷川町子美術館」(世田谷区桜新町1)で4月20日から、「エイケン50周年展~アニメサザエさんと共に~」が開催されている。
「サザエさん」の漫画作家として知られる長谷川町子(1920-1992)が、姉の毬子と共に収集した日本画・洋画・ガラス・陶芸・彫塑など多岐にわたる美術品を広く社会に還元しようとの思いから、1985(昭和60)年11月3日に「長谷川美術館」として開館した同館。1992年、町子没後は館名を現在の「長谷川町子美術館」と改め、作品の収集・展示を続け、年に数回収蔵コレクション展を開催。町子コーナーでは、町子が描いた「サザエさん」「いじわるばあさん」「エプロンおばさん」などの原画や、町子が手掛けた陶芸や水彩などの作品も展示している。
1969(昭和44)年10月5日にテレビ放送を開始したアニメ「サザエさん」は、今年で50周年を迎える。エイケンは、アニメ「サザエさん」を初回から現在まで手掛け続けるアニメーション制作会社で、1969(昭和44)年3月に前身であるCM制作会社日本テレビジョン(TCJ)の映画部部長だった村田英憲さんが分社・独立して創設し、今年で50周年を迎える。創業者である村田さんの「日本の優しい心を持った子どもたちにアットホームで心温まる作品を送り続けていきたい」という創業理念の下、この50年の間に43作品ものさまざまなジャンルのアニメーションを世に送り出してきた。
同展覧会では、エイケンの代表作である「サザエさん」をはじめ、「鉄人28号」「エイトマン」「忍風カムイ外伝」「UFO戦士ダイアポロン」「キャプテン」「ガラスの仮面」「コボちゃん」「クッキングパパ」「ぼのぼの」の10作品を中心に、エイケンの歴史と制作資料の数々を展示する。
1階の展示室では、アニメ黎明(れいめい)期の作品「鉄人28号」「エイトマン」「忍風カムイ外伝」を中心に、セル画や絵コンテを展示。「エイケンクラシカル(『サザエさん』制作以前のヒーローたちを描いてきた時代のアニメーション)」のオープニング映像や、等身大の「鉄人28号」と一緒に写真撮影ができるフォトスポットも用意する。
2階の展示室では、エイケンの歴史の紹介と共に、「UFO戦士ダイアポロン」「キャプテン」「ガラスの仮面」などの、シナリオ、絵コンテ、美術やキャラクターなどの設定画、原画、セル画をはじめ、「エイケンクラシカル」制作時代に使っていた作画用石こうモデルや手描きポスター、LPレコードのジャケットなど、貴重な制作資料を展示する。「サザエさん」コーナーでは、1969(昭和44)年の第1回放送で使ったセル画をはじめ、アナログ時代とデジタル時代の制作過程、セル画描写道具、エンディング部分の元となる原作の4コマ漫画とアニメの対比などを分かりやすく紹介する。
会期中、エイケンの相談役毛内節夫さんによるレクチャー「エイケン50年を語る」(6月8日14時~)も開かれる。
同館学芸員で広報の相澤弘子さんは「当美術館として外部の題材を取り上げた初めての展覧会となる。アニメの黎明期から現在まで支えてきたエイケンのすごさとともに、この歴史があってこそ今のサザエさんがあることを少しでも感じていただければ」と話す。
開催時間は10時~17時30分(入館は17時まで)。月曜休館。入場料は、一般=600円、高校生・大学生=500円、小学生・中学生=400円。駐車場は3台分を用意。6月23日まで。