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砧・大蔵の「予約制乗合ワゴン」実証実験 要望に応え運行継続

「予約制乗合ワゴン」のイメージ

「予約制乗合ワゴン」のイメージ

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 世田谷区の砧・大蔵エリアで現在行われている「予約制乗合ワゴン」の実証運行が、来年4月まで継続することが決まった。

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 有償デマンド型交通の課題や有効性などを検証することを目的に、世田谷区が昨年5月から1年間の予定で始めた同実証実験。最寄りのバス停留所から200メートル以上かつ鉄道駅から500メートル以上離れている地域を「公共交通不便地域」と定義し、「砧・大蔵エリア」をモデル地区とした。地域住民やバス事業者と協議・検討を重ね、ワゴン車を使ったデマンド型コミュニティー交通を導入した。

 利用者がウェブサイトや電話で配車を手配すると、ワゴン車が利用者の予約状況に応じて、乗降地点間を最適なルートで運行する。ルートの選定はAIが行う。1日当たりの平均利用者数90人と収支率30パーセントを目標に掲げ、利用状況や課題、有効性などを検証した上で、本格運行の可能性を検討することになっていた。

 同区道路・交通計画部交通政策課の村田義人さんは「現時点では当初掲げた目標人数や収支率に達していないが、日常生活の充実や、買い物などの外出が困難になるのを予防するなど、ワゴン車両による移動支援サービスが果たせる役割があると考えている」と話す。利用者からは「快適で便利」「高齢者の外出機会が増えた」「家族に頼らない移動が可能になった」という声が寄せられる一方、「乗降地点を増やしてほしい」「運行時間を延長してほしい」という要望も上がっていることから、5月以降は対象エリアの「乗降地点」を2カ所追加して46カ所にし、運行終了時間も18時から19時まで延長して、利便性の向上を図る。

 利用者の「予約が面倒」だという声や「朝や夕方に比べて、日中の利用者が少ない」という課題に対応するため、今後は地域イベントでのPRや、スマートフォンからの予約体験講座、各家庭へのコミュニティー交通ニュースの配付などの周知活動にも取り組み、利用者を増やしていきたいという。

 村田さんは「実証運行2年目は、利用促進となる運行改善策を講じながら、利用人数や収支率の改善を図るととともに、社会インフラとしての有効性についても検証していきたい。地域の人に育てられ、愛されるコミュニティー交通を目指しているので、気軽に利用してもらえれば」と話す。

 運行時間は月曜・水曜・金曜・祝日の8時30分~18時(5月からは19時)。乗車定員は8人。運賃は、大人=300円、小学生=150円、割引証提示の70歳以上=100円で、交通系ICカードも使用できる。延長後の実証運行期間は2025年4月30日までを予定する。

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