世田谷で「マヤの暦と中米の織り展」-マヤの布数十点、トーク企画も

色鮮やかな織りの数々。オーナーの大嶋さん、機織り機の前で

色鮮やかな織りの数々。オーナーの大嶋さん、機織り機の前で

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 世田谷区祖師谷のあかねこうぼう(世田谷区祖師谷4、TEL 03-3482-1818)で現在、「マヤの暦と中米の織り展-その神秘と美の世界-」が開催されている。

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 色彩美豊かで、村ごとに柄や意匠が異なるなど多彩な中米の織り。今回はマヤに魅せられた店主・大嶋夕子さんが、5回にわたって現地に足を運び集めてきた中米の織りの中から、着物を中心にえりすぐりの数十点を展示している。「1着を仕立てるのに1年から数年もかかる。技術的にも優れたマヤの織りを一人でも多くの人に知ってほしい」と大嶋さん。

 長年日本で機織りに従事してきた大嶋さんは、20年ほど前、息子がグアテマラに赴任したのをきっかけに、もともと憧れでもあった中米の織りを習得しようと、後を追い掛けた。スペインの侵略によって山岳部へ追いやられたマヤの人たちの間では、当時内戦が頻発。中米の織りの特徴にもなっている村ごとに異なる鮮やかな柄は、内戦で殺されたときに出自を明らかにするためのものだと知った。「悲しい過去が生んだ産物ではあるが、村の人々が込めた思いが織りから伝わってくる」と魅力を語る。

 祖母から母へ、そして娘へと村の中で引き継がれてきた中米の織り。最後に訪れた3年前には女性たちの着るものも大きく変化し、織りを見る機会は少なくなっていたという。「今後はこの織りを収集することは難しくなるかもしれない」と今回企画展を開いた理由を明かす。

 今回は刺しゅうで作られたマヤの暦も合わせて展示。会期中にはマヤの暦に詳しい中川さくたろうさんを招いてギャラリートーク、マヤ占いイベントも開く。

 夫の退職後、実家のある祖師谷に戻った大嶋さんが、自身の染織の創作、発表の場として開いた同工房。その後、地域の人とのつながりを大切にしたいとの思いから、手を動かす楽しみとぬくもりを伝える場として、地域に開放するようになった。現在は企画展のほか、和物の布での小物づくり、パッチワーク、革工芸、水彩画など幅広い分野の講座を開講している。夏と冬の休みには小学生向けのワークショップ「子ども工房」も。これまで自宅にこもり仕事をしていたお年寄りの中には、講師として子どもたちに教えるようになって、外に出るようになった人も多いという。2年前より世田谷区が支援する「地域共生のいえ」として認定されている。

 営業時間は10時~17時。入場無料。ギャラリートークは6月2日13時30分~15時30分。展示は6月6日まで。

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