世田谷美術館で20世紀写真史の巨星スタイケン世界巡回展-大戦間期作品200点

世田谷美術館入り口

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 世田谷美術館(世田谷区砧公園1、TEL 03-3415-6011)で1月26日、「エドワード・スタイケン写真展モダン・エイジの光と影1923-1937」が始まった。

展示の様子(スタイケンの言葉『ヴォーグをルーブルにしよう』)

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 エドワード・スタイケン(1879-1973)は、20世紀初頭に極めた優雅なピクトリアリズム(絵画主義)の作品から、冷戦期にニューヨーク近代美術館の写真部長として約900万人を動員した写真展「ザ・ファミリー・オブ・マン」の企画まで、約70年におよぶ活動で知られる米写真界の巨星。

 2007年パリのジュ・ド・ポーム国立美術館を皮切りに世界11カ所を巡回した同展。国内では世田谷美術館のみでの開催となる。ミネアポリスやパリを拠点とする写真展財団「Foundation for the Exhibition of Photography/FEP」の呼び掛けに対し、写真領域は同館の「活動のメインロードの一つ」(酒井忠康館長)と応じ開催が決まったという。

 今回展示するのは「大戦間期」と呼ばれる1920から1930年代のファッションとポートレート写真約200点。スタイケンはこの時期の15年間、ファッション誌「ヴォーグ」や総合誌「ヴァニティ・フェア」を出版するコンデナスト社の主任写真家として活躍し、「人々の憧れと消費をいざなう虚構の世界」を精緻に撮り続けた。これらの作品が掲載されている雑誌の現物や、印刷のための指示書きが残されたプリントの展示もあり、「ルーブルで見るから芸術なんだよ、『ヴォーグ』をルーブルにしよう(In the Louvre they are art. Make Vogue a Louvre.)」と語り、芸術写真と商業写真の境界を横断したスタイケンの様子を検証することができる。

 初日の26日に行われたオープニングレセプションでスピーチをしたFEPのトッド・ブランドウさんは、同展では同時期の「スタイケン最高傑作の中から最高の作品」を選び、「サプライズ」として未発表作品や1度しか現像されずにコンデナスト社の保管室で80年以上眠っていたオリジナル・プリントを届けると発表し会場を沸かせた。シャネル、ランバン、スキャパレリら一流デザイナーの魅惑的なドレスから、女優グレダ・ガルボや作曲家ジョージ・ガーシュインらの忘れがたい表情まで、スタイケン流のモダンなスタイルが発展する過程を追いながら、その背後で移ろいゆく時代を肌で感じる機会となる。

国内でスタイケン作品の大規模な展示が開催されるのは1986(昭和61)年以来およそ25年ぶり。開催2日目の27日までに入館者は700人を超えており、同日に開催された同展国際巡回監修者でスイス・エリゼ美術館元館長であるウィリアム・A・ユーイングさんによる「オープニング・レクチャー」はほぼ満員で約150席の同館講堂を埋め、同展への関心の高さをうかがわせた。

 開館時間は10時~18時(入場は終了の30分前まで)。月曜休館。入場料は、一般=1,000円、65歳以上と高校生・大学生=800円、小中学生=500円。4月7日まで。

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