世田谷の瀬田交差点そばに6月、アンティークショップ「南方(みなかた)美術店」(世田谷区瀬田2、TEL 03-6805-6535)がオープンした。
同店オーナーである大寶さん(29)は、明治時代から昭和にかけて活躍した、日本の博物学や民俗学の創始者として知られる南方熊楠を大伯父に持つ。アンティークショップ兼カフェ勤務を経て、10年来の地元である同地で自己資金で開業した。
店舗面積約10坪の店内に1世紀以上を経た「アンティーク」の家具や古道具、玩具、雑貨など約300点を並べる。商品ラインアップのコンセプトは「国籍を問わず、間口を広く」で、「売れる物」よりも大寶さん自身が「本当に好きになった物」をそろえた。大量生産よりも、手作業で作られた一点物である「アンティーク」を主体とする。大寶さんは「自分が本当に好きになった物は自分の人生を楽しませてくれるし、豊かにしてくれるはず」と話す。商品は「お小遣いで買える価格帯」を中心に据え、「フランス製グリム童話をモチーフとした箱入りマッチ」やアメリカ製安全ピン(以上300円)から「室町時代の常滑焼水がめ」(25万円)まで。
「個人商店の役割として、街に関わり、街から必要とされるような店でありたい」と話す大寶さんの思いが伝わるかのように、開店以来、一面ガラス張りの店舗入り口から多くの道行く人々が興味深そうに店内をのぞき、年齢性別を問わずさまざまな来客でにぎわっている。街へ開かれ、根づいた存在となるために、各種教室などの利用へ店内スペースの貸し出しも受け付けている。大寶さんは「普段目にする機会の少ない物を手にして、自分の本当に好きなものを見つけてほしい。ぜひお気軽に」と話す。
営業時間は11時30分~19時30分。