今年で25回目を迎えた地域の伝統行事「二子玉川どんど焼き」が1月12日、多摩川河川敷の「二子玉川緑地運動場」(世田谷区鎌田1)で行われた。
正月のしめ飾りや門松、書き初めなどを持ち寄って燃やし、新年の厄払いを祈る日本の伝統行事「どんど焼き」。二子玉川の多摩川河川敷では1989(平成元)年から毎年、竹の櫓(やぐら)の組み立てから「おたき上げ」までを同区鎌田1~2丁目、3丁目(一部)と宇奈根1丁目(一部)の住民らで構成される自治会「鎌田南睦(みなみむつみ)会」が行っている。
多摩川河川敷に組み立てられた高さ10メートル近くになる櫓(やぐら)が勢いよく燃える様子は、数年前から始まった同街の大規模な再開発事業によるクレーンや建設中の高層ビルの近代的な様子と、白くそびえる富士山と大山連山を借景とすることで「変わりゆく街の象徴的な風景」として話題となり、地域を超えて広く知られるように。今年も1500人ほどの人出があった。
式典開始は10時30分、点火は11時。晴天に恵まれ、地元の消防団員らが見守る中、30分ほどして櫓(やぐら)が燃え落ちたころから、甘酒と餅が無料で振る舞われた。「子ども優先」で配られる餅は、地元企業「新舘建設」(鎌田2)からの提供。竹ざおにつるし、どんど焼きの火で焼いた餅を食すと「無病息災になる」との言い伝えに倣い、多くの子どもたちが調味料やアルミホイルを持参し楽しむ姿が見られた。
同イベント準備は1週間前の今月5日、「茅(カヤ)刈り」に地元小中学生を含む43人、「櫓組み立て」に同会会員25人、昼食の炊き出しに同会婦人部から8人が参加して行った。
点火式典では同会の脇克仁副会長が「カヤの採集も難しくなり、組み立てを担う会員も高齢化している」と、伝統行事を取り巻く状況について説明。「開催が年々厳しくなる状況だが、祈りを込めて浄火する日本の伝統行事をなんとしてもつないでいくための協力を地域へ広く募り、体制を作って行きたい」と継続への思いを呼び掛けた。