世田谷区野毛の多摩川河川敷を拠点に活動する自主保育グループ「野毛風の子」は本年度、活動開始から25周年を迎えた。
「自主保育」とは、施設や専任の保育者を持たず、親や保護者自身が運営する子育ての活動を指す。就学前の0~6歳の子どもを保護者同士が当番制で預け合うこと、緑地や公園、プレーパーク等野外を活動拠点にしていることなどが特徴。
1970年代半ばに都内各地で始まったといい、現在世田谷区内には、同会のほか、「自主ようちえんひろば(羽根木プレーパーク)」「野外保育つちのこ(駒沢はらっぱプレーパーク)」「自主保育てんとう虫(世田谷プレーパーク)」「自主保育駒沢おひさま会(駒沢公園自由広場)」がある。
今年で25周年を迎える「野毛風の子」は、駒沢おひさま会から分化し、多摩川河川敷の野毛を拠点に活動がスタートした。「子どもが自然の中で伸び伸びと遊び、自分の気持ちから動き出すのを見守ること、親も楽しみながら活動すること」を主眼にしている。河川敷のほかに二子玉川公園、駒沢はらっぱパーク、246号線高架下や区民集会所(雨天時)などを活動場所とし、時にはほかの自主保育グループと合同で活動することもあるという。
区の助成金と会員からの会費で運営。運営方針、活動日、活動内容などは、月1回開かれる会員同士のミーティングで話し合って決める。現在、12人の母親と16人の子ども(0歳~3歳=7人、年少以上=9人)が参加中。3歳までは子どもの母親自身が世話をすることが原則で、4~6歳は当番制で母親が保育する「預け合い保育」を行う。
3月21日には活動拠点の河川敷で、新年度の4月に入学する4人の児童を祝う「卒会式」を開いた。同会のOB・OG家族やほかの自主保育グループのメンバー、近隣住民の母子やプレーパークせたがやのメンバーなど150人もの参加者が集う盛大な会となった。会場には写真や風船で装飾が施され、各参加者が持ち寄った料理で昼食を楽しんだ。その後、一人一人に母たちからの手書きメッセージ入りの「卒会証書」が授与され、歌や踊り、プレゼントの贈答等で4人の子どもたちの巣立ちを祝った。
2人目の子どもが卒会を迎えた山本雅世さんは、自主保育について「子どもたちにとってはたくさんの兄弟、たくさんのお母さんがいるようなもの。親同士も本音で語り合える仲間ができるのが魅力」と話す。「自主保育グループ同士の交流もあり、本当に多くの人に見守ってもらいながら子育てをしている」と明かし、「児童館や公園に居場所が無いという人、伸び伸びと自然の中でみんなで子育てをしたい人に、このような活動があることを知ってほしい。興味があれば、まずは気軽に遊びに来てもらえれば」と呼び掛ける。
本年度の活動時間は火曜~金曜の9時30分~14時が中心。