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二子玉川の童画家・松本かつぢアニメDVD制作で目標資金額達成、10月完成へ

三女・宇津原充地栄さん(松本かつぢギャラリーで)

三女・宇津原充地栄さん(松本かつぢギャラリーで)

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 昭和に活躍し二子玉川で暮らした抒情(じょじょう)画・童画家の松本かつぢの代表作「くるくるクルミちゃん」のアニメーションDVD制作プロジェクトが7月6日、クラウドファンディングで資金目標額を達成した。

松本かつぢギャラリー内の様子

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 少女漫画の先駆的作品である「くるくるクルミちゃん」の作者であり、「元祖『カワイイ』作家」と評される松本かつぢ(1904~1986年)。アトリエを玉川4丁目に置き、創作活動を行った。現在は三女の宇津原充地栄(うつはら みちえ)さんが後を継ぎ、同所で「松本かつぢギャラリー」を開いている。

 来年に没後30年を迎えることから、宇津原さんは近隣在住でアニメーションや漫画に詳しい大澤小雪さんの協力を得て、代表作「くるくるクルミちゃん」のアニメーション(3分間)を含めた10分間の紹介DVDを制作するプロジェクトを立ち上げた。今後、同DVDを活用し松本さんの再評価を促すプロモーション活動を多方面へ展開する。

 5月7日から7月6日までの3カ月間、制作のために最低限必要な資金130万円を、コミック・漫画などアート分野で必要な支援(サポート)を得るクラウドファンディング・プラットホーム「FUNDIY(ファンディー)」で募ったところ、5月24日に目標金額を達成し、ファンドが成立。最終的には目標金額の242%の315万2,005円に到達し、サポーターは159人に上った。

 DVD制作は、「アンパンマン」「美味しんぼ」などのテレビアニメや劇場用アニメを手掛ける「エクラアニマル」(西東京市)が担当。作画監督の本多敏行さんは、同社が自主制作したアニメ「フイチンさん」の原作者・上田トシコさんの恩師が松本かつぢであることから「この作品に関わることのできる幸せをひしひしと感じている。『カワイイ』をどこまで表現できるか、頑張りたいと思う」と意気込む。すでにアニメ作品の絵コンテは完成している状態で、2話を制作する予定という。

 宇津原さんは「奇跡のような出来事が現実のこととして胸に迫っている。かつぢが生前、『クルミちゃんを動かしたいな』と話した言葉が忘れられず、思い切って始めたこのプロジェクト。協力してくださる方たちの力を借りて進めることができた」と感慨深げに振り返る。今後について「愛にあふれ、けがれの無いかつぢの作品を現実の世界に再現する空間、カフェなどを開けたら」といい、「末っ子の私が人生の最終章で次の時代・世代へかつぢの思いを受け継いでいけるように力を尽くす」とも。協力者の大澤さんも「地域の美術館などで企画展を実現したい」と展望を明かす。

 アニメDVDの完成は9月、サポーターへの発送は10月を予定する。

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