世田谷の成城ホール（世田谷区成城6、TEL 03-3482-1313）で5月18日、室内楽コンサート「アラウンド ザ ピアノ－2台のピアノと2人のピアニスト」が開催される。主催は公益財団せたがや文化財団 。

ピアニストの田村緑さん（撮影　K.Hishikawa）

　同コンサートではグランドピアノが2台登場。1台のピアノを2人で弾く連弾と違い、2台がそれぞれに音の高低や、ハーモニーを奏でるため、20本の指先が同時に紡ぎだす奥行きの深い音を楽しむことができる。

　今回は2台のピアノをより効果的に演出するために、客席にも工夫を凝らす。舞台と客席の段差を取り払い、会場をフラットな状態にして、中央にピアノを2台設置、客席はピアノを取り囲むように配置するため、普段見ることのできない角度からもピアノを見ることができる。客席からピアノまでの距離は2、3メートル。間近で「音のシャワー」を浴びることになるのも魅力の一つ。「ピアノは大きな楽器なので、コンサートと言えばいつも定位置に、同じ角度で設置するしかなかった。今回は物理的な条件もあり、舞台との差をなくしたのだが、結果的に360度どこからでもピアノを見ることができるようになった。耳でも、目でも楽しめるコンサートになっているのでは」と、同財団の尾崎由香里さんは同コンサートの見どころを話す。

　出演は、メディアにも登場し、多くの作品をリリースしているピアニストの白石光隆さんと、日頃から教育機関などに出向き、音楽活動の普及に努める「アウトリーチ」活動に積極的に取り組んでいるピアニストの田村緑さん。当日は、2台のピアノのために書かれたラヴェル「ラ・ヴァルス」のほか、同ラヴェルの「亡き王女のためのハヴァーヌ」、ロウ「マイ・フェア・レディ」、ピアソラ「リベルタンゴ」などの楽曲も披露する。

　同コンサートは未就学児童の入場不可だが、前日に「親子で楽しめる30分のミニコンサート」を開催し、幅広い世代の方に気軽にクラシックを楽しんでもらう機会を提供している。ミニコンサートは、2人の出演者がそれぞれ30分ずつ担当。「近年、子ども向けのコンサートの要望が高まってきている。足を延ばさなくても身近なところでクラシックに親しむきっかけをつくりたかった」と尾崎さん。

　「親子で楽しめる30分のミニコンサート」は11時～と12時10分～の2部制（開場は20分前）。座席は全席自由で0歳から500円。「アラウンド ザ ピアノ」は18時～（開場は17時30分）、全席自由で一般3,000円（未就学児童入場不可）。申し込みは世田谷パブリックシアターチケットセンター（TEL 03-5432-1515）まで。