成城の「樫尾俊雄発明記念館」(世田谷区成城4)は6月10日、「時の部屋」と「音の部屋」を新設し、時計、電子楽器や事務用情報処理装置などの一般公開を開始した。
同館は、2012年5月に逝去した元カシオ計算機会長の樫尾俊雄さんが残した発明品を展示・公開するため、数多くの発明が生み出された樫尾さんの自宅を改装し昨年6月に開館。国分寺崖線上に位置する同敷地の庭園部分約490坪は世田谷区の市民緑地「成城4丁目発明の杜」で、建物部分約345坪にカシオ計算機の最初の製品である世界初の小型純電気式計算機「14-A」や、世界初のパーソナル電卓「カシオミニ」などの代表的な計算機を展示している。
今回、「創造の部屋」「数の部屋」「発明の部屋」の3展示室に加え「時の部屋」「音の部屋」を新設。新たに公開する品目は、時計、電子楽器と事務用情報処理装置。いずれも計算機の技術を応用して樫尾さんが開拓した事業分野で、世界初の「オートカレンダー機能」を内蔵した腕時計「カシオトロン」(1974年発売)、さまざまな自然楽器の音色で演奏ができる電子楽器「カシオトーン201」(同1980年)、ユーザーによるプログラミングを不要にした「ADPS(アドプス) R1」(同1989年)などが展示されている。
「時の部屋」では樫尾さんが「時間は1秒ずつの足し算である」と考えて計算機の技術を生かした時計を開発したこと、「音の部屋」では音楽を好んで聴いたが楽器を演奏できなかったので簡単に演奏を楽しめる楽器の開発に取り組んだことなど、発明の経緯も合わせて紹介する。
開館時間は9時30分~16時30分。土曜・日曜・祝日休館。入館無料。要予約。詳細は同館サイトで確認できる。