戸板中学校・戸板女子高等学校(世田谷区用賀2)は来年4月、校名を「三田国際学園中学校・三田国際学園高等学校」へ改称し、男女共学校として新たなスタートを切る。
同校を運営する学校法人戸板学園(港区)は1902(明治35)年、戸板関子が「戸板裁縫学校」を建学し、今年で112年目を迎える。1916(大正5)年に三田四国町(現在の港区芝)に中高部の前身となる「三田高等女学校」を創設し、1993年、現在の用賀の地へ移転した。同校の敷地面積は約6000坪。
「時代に適応した実学を」という創立者の教育精神を受け継ぎ、次の100年を見据え「時代の要請に応え社会に貢献していくため」、来年度入学生から男女共学化を決定。校名は建学の地である「三田」の名前を冠した「三田国際学園」と改称し、「グローバル社会で活躍できる人材」を育成するための教育改革に取り組む。
新校名の英語表記は「MITA International School」で、「グローバル時代に適した世界標準の相互通行型授業」を展開する。「従来の教科書を中心とした一方通行型の詰め込み授業ではなく、知的好奇心を原点とした、考えることを支援する授業」(今井誠広報部長)を指し、生徒全員が個別に所有するiPad miniを用いた学習や、ディスカッションとプレゼンテーションにより、「自由闊達(かったつ)な」思考を育てるという。
ほかに「英語教育」「サイエンスリテラシー」「ICT活用」を大きな柱に掲げ、中学では「インターナショナルクラス」と「本科クラス」の2クラス、高校で「スーパーイングリッシュコース」「スーパーサイエンスコース」「本科コース」の3クラスを創設。「インターナショナルクラス」では、帰国子女だけでなく、小学校まで英語を学んだ経験の無い生徒も受け入れる。主要5教科は英語で授業を行い、英語力に基づきクラスを分ける。通常の国際学校とは異なり、学校教育法第1条に基づく学校であることから、高校卒業時には日本の大学受験資格も得ることができるのが最大の特徴。
2013年に広尾学園(港区)の前学園長・大橋清貫さんを迎えて、教育改革を推進中の同校。昨年以降、職員を約10人新規採用し、英語のネーティブ教員は現在3人で「将来的には10人に増員する予定」(同)。Wi-Fi環境や各教室、共有空間などの設備の整備もほぼ完了しているという。
11月1日・2日は学園祭が開かれる。「戸板祭」としては今回が最後だが、テーマに「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」を掲げ、「『終わり』ではなく『次へのステップ』として前向きに取り組んでいる」と同祭を担当する齋藤春香先生。変わりゆく同校の「戸板の100年」を「生徒たちなりのおもてなしの心で表現する」と話す。
学園祭は10時~15時。一般公開はしていない。同校の受験希望者は同祭案内所で記名の上、入場可能。