野毛の多摩川近くに立地する「楽ちん堂カフェ」(世田谷区野毛2、TEL 03-3702-8468)で4月1日より、高齢者が運営する高齢者のためのサロン運営事業「せめてしゅういち」がスタートする。
同事業は「イッセー尾形・ら」が、「東京しごと財団」(千代田区)の「高齢者職域開拓事業モデル」として認定を受けて行う。
同社は、俳優のイッセー尾形さんの舞台をデビュー以来40年にわたり手掛けてきた演出家の森田雄三さんと妻の清子さんが2012年、イッセー尾形さんの舞台活動休止をきっかけに立ち上げた。公演の上映中、スタッフらがロビーで観客の子どもの面倒を見ていた経験を生かし、森田さんの住居兼劇団の稽古場を活用して宿泊付き学童保育を行い、カフェも併設して運営。2014年からは隣接する建物内で、障害を持つ中高校生向けの学童施設「イクツアルポック」も開所した。
同財団が認定する「高齢者職域開拓事業モデル」とは、「創業または異業種進出、業務拡大等による新分野進出等により、60歳以上の高齢者を新たに3人以上雇用する法人等に対して経費の助成をする」もの。高齢者の幅広い雇用を創出する狙いで、事業の立ち上げに要する経費(備品の購入、店舗改装、研修受講費用等)の一部を助成する。
今回開所する「せめてしゅういち」は、「高齢者のためのサロン」で高齢者自身がサービスに従事し運営する。「高齢者が家に閉じこもらず、『せめて週に1度』は人と顔を合わせて人生を楽しもうという意味で命名した」と清子さん。「決まったことを与えられる場ではなく、高齢者が中心となり、同世代のためにサロンを企画・運営する。客側も一方的にサービスを受けるのではなく、自ら参加し人と関わり表現していくことで、自己の魅力や人生の楽しみを再発見できる場を目指したい」と話す。
3月21日には「せめてしゅういちの入社試験」と冠し、二子玉川ライズ・オフィス棟の「カタリストBA」で舞台「生きてればみんな合格」を上演する。イッセー尾形さんの「普通の人を演じ続け、人々に笑いや喜びを提供してきたスタイル」をヒントに、出演者らは実際に「死ぬかと思った出来事」を演じるという。当日は、俳優の小松政夫さんも参加予定。
同舞台では現在、60歳以上の出演希望者を募っている。希望者は3月16日~20日、同カフェで「面接」を兼ねた稽古に参加する必要がある。参加費用は2,000円(ドリンク・食事付き)。
21日の公演は14時30分開場、15時開演。料金は2,000円(終演後会場でパーティーあり)。チケットなど詳細は同社まで。