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世田谷の静嘉堂文庫美術館で移転前最後の展覧会 23年ぶり国宝7点全てが集結

外観

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 展覧会「旅立ちの美術」が4月10日から、世田谷・岡本の「静嘉堂文庫美術館」(世田谷区岡本2)で開催される。

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 三菱創業者として知られる岩﨑彌太郎の弟で、第2代の社長を務めた岩﨑彌之助と、その息子で第4代社長の岩﨑小彌太の父子2代によって設立された同館。国宝7点、重要文化財84点を含む和漢の古典籍約20万冊と東洋古美術品約6500点を収蔵する。

 1992(平成4)年に開館し2022年に30周年を迎える同館は、三菱創業150周年記念事業の一環として美術館展示ギャラリーを、東京丸の内の明治生命館1階に移転。丸の内は、彌之助が美術館建設を夢見た場所だという。美術品の保管管理・研究閲覧業務、ならびに静嘉堂文庫(書庫)、敷地・庭園の管理業務は、世田谷・岡本で継続する。移転後は開館日数を増やし、美術にふれる機会が少ない人たちが気軽に観覧できる館にしていきたいという。

 移転前最後の展覧会となる今回のテーマは「旅立ち」。展示を4つに分け、1章では旅立ちに際して贈られた美術に込められた送別の物語を紹介、2章では旅立つ人々が目指した理想郷の姿を探る。3章では美術品の伝来の道筋も「旅路」と位置づけ、同館の所蔵する名品の伝来にまつわるエピソードを紹介。4章では同文庫が創設された神田駿河台の岩﨑彌之助邸から高輪、世田谷へと移転した歴史を紹介し、同館のあゆみを振り返る。

 本展では、1998(平成10)年の「静嘉堂・国宝展」以来23年ぶりに、同館所蔵の国宝「曜変天目(ようへんてんもく)」、「禅機図断簡 智常禅師図(ぜんきずだんかん ちじょうぜんじず」など7点全てを一挙公開。後期には、国宝3点のほか、重要文化財「聖徳太子絵伝」を修理後初公開する。

 関連イベントとして、同館館長河野元昭さんによる講演会「出会い旅立ち別れの情-日中絵画の流れから-」をはじめ、世田谷美術館、五島美術館含む世田谷3館学芸員による「世田谷・静嘉堂の思い出」、元東京交響楽団員による弦楽四重奏「静嘉堂 いい日旅立ち」、「学芸員による列品解説」、通常非公開の「静嘉堂文庫見学会」を開催予定。

 同館学芸員の山田正樹さんは「『旅立ち』をテーマにした展覧会は珍しい試みだと思う。作品自体に込められた旅立ちのストーリーや、名品の裏側にある所有者たちと作品との逸話を紹介しているので、作品とともに人物や情景を思い浮かべながら歴史を味わっていただき、静嘉堂の思い出にしていただければ」と話す。

 開館時間は10時~16時30分(入館は16時まで)。月曜、5月6日休館(5月3日は開館)。入場料は、一般=1,000円、高校生・大学生、障害者手帳を持つ人(同伴者1人含む)=700円、中学生以下無料。

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