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東京都公文書館で「子どもの見た戦争 手紙が語る学童疎開」展-70年の節目に

「たいけんコーナー」の疎開先からの手紙レプリカ

「たいけんコーナー」の疎開先からの手紙レプリカ

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 旧都立玉川高校跡地の「東京都公文書館」(世田谷区玉川1、TEL 03-3707-2603)で現在、戦時中の学童集団疎開の実施から70年の節目に合わせた企画展「子どもの見た戦争-手紙が語る学童疎開」が開催されている。

「十七年式防空防毒面(ガスマスク」実物展示

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 もともと港区海岸1丁目で業務を行っていた同館。2010年12月に公表された竹芝地区約1.7ヘクタールの都有地活用事業「都市再生ステップアップ・プロジェクト」に伴い、2008年3月に閉校した同校跡地の旧校舎へ2012年3月、5~6年間の予定で仮移転した。東京都の公文書や庁内刊行物などを系統的に収集・保存、都に関する修史事業のほか、館所蔵資料を活用した展示事業も行っている。

 8月11日より同館閲覧室内で開催されている同展は、7月に学童疎開体験者から疎開地からの手紙やはがき、疎開中に描いた絵などが寄贈されたことがきっかけ。1944 (昭和19) 年に学童集団疎開が実施されてから70年という節目の今年に、当時の全国の小学生約60万人が体験した疎開地の暮らしとはどのようなものであったかについて、これらの新収蔵資料と聞き取りを中心にして紹介する企画の実施が決まった。

 展示構成は、「第1章 太平洋戦争のはじまり」コーナーでは「開戦を報じる讀賣新聞」や「大東亜戦争世界要図(大本営海軍報道部蔵版)」など、「第2章 防空体制の整備と空襲」では「十七年式防空防毒面(ガスマスク)」の実物展示など、疎開が行われるようになった背景について説明する。

 「第3章 手紙が語る学童疎開」では寄贈者の香河郁世さん、渡辺葉子さん姉妹が通った「赤松国民学校」(現在の大田区北千束)の学童疎開前の様子を紹介した後、同校小学5年生児童ら約90人が疎開した静岡県島田市(現在)での暮らしを子どもたちの疎開地から実家へ宛てた手紙の実物を展示し伝える。

 「第4章 当館所蔵の学童疎開関係史料」では、「極秘」と押印された「国民学校児童の疎開促進要綱に関し意見具申の件」など、東京都が行った疎開事業の全容を知ることができる「基礎的な史料」を展示する。

 同展の企画担当で同館資料編さん担当係長の佐藤佳子さんは、「子どもたちの手紙には、運動会や疎開先を訪れる『軍人さん』との交流といった楽しい思い出から、食糧の欠乏やつらい出来事の報告、両親の元へ早く帰りたいという願いなどがつづられている」と話す。展示会場には手紙と封筒の精巧なレプリカがあり、「ぜひ手に取っていただき、内容からどんなことがあったのかなどの思いをくみ取っていただければ」とも。

 開館時間は9時~17時。観覧無料。土曜、日曜、祝日休館。9月12日まで。

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