イッツ・コミュニケーションズ(本社=世田谷区玉川2)が運営するFMラジオ番組「アフタヌーン サルース」で1月26日、二子玉川経済新聞の編集長が出演し、テレビ番組で「世界一嫌いかもしれないニコタマ」とコメントしたマツコ・デラックスさんへ来街を呼び掛けた。
番組中に紹介した二子玉川駅下近くで産卵する鮎の動画(提供:せたがや水辺の楽校)
1月12日の深夜に放送された「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)で、マツコさんは「最もキライな街」として「二子玉(ニコタマ)」を挙げた。番組では、東京都の各区民にインタビューをしたVTRを紹介し、その中で世田谷区民の女性が二子玉川について「リッチピープル」「ここに住んでいると自分のセンスが磨かれていく」となどと発言したことに対し、マツコさんが「ニコタマってほんと世界で一番嫌いかもしれない街なのよ」とコメント。さらに「だいたい世田谷に住みたいなんてやつは、ファッション誌に書いてあることをうのみにするようなやつらよ」と批評した。
東急線沿線地域をサービス対象エリアとし、横浜市青葉区から発信されるイッツコムのコミュニティーFM番組へ定期的に出演する二子玉川経済新聞の小林直子編集長は、このコメントが同街の住民や在勤者の間で「新年早々の大きな話題に上った」と明かした。「世田谷全体を批判したことに対する違和感」や「二子玉川をニコタマと呼ぶことに対する反発」などを紹介する一方で、「多摩川や国分寺崖線の豊かな自然環境と別邸文化や料亭、川遊びや遊園地、ショッピングで古くから栄えてきたエンターテインメント・シティーの要素などを複合的に包括する街の一面しか発信できていないことへの課題」を指摘する声もあったことを伝えた。
小林編集長はさらに「街の大きな特色の一つ」として、年間1000万尾~700万尾前後が遡上(そじょう)する多摩川のアユの産卵地が二子玉川駅近くの二子橋~東名高速の間であることを挙げた。都の調査が始まった1983(昭和58)年の推定遡上数は約18万尾であったが、2006年から100万尾超を記録し、続く2011年に前年比4.2倍の783万尾へと大幅に増加。翌2012年は11年比1.5倍の1000万尾を超えるまでに急増したことを説明した。その理由について、多摩川流域の下水処理施設の整備などによる河川水質の改善、東京湾全体の水質良化以外に「周辺住民による継続的な水質向上と水辺環境改善への自発的な清掃活動など、高い意識によるもの」と話した。
ほかに、同街の「自然や伝統と共生の例」として、住民自治組織である鎌田南睦会が主催する多摩川河川敷での伝統行事「どんど焼き」や、10年以上前から多摩川河川敷の二子玉川緑地運動場を拠点に活動を続ける「せたがや水辺の楽校」の「地域で作り続けて行く現在進行形の原っぱ」、国内でも有数の交通量がある国道246号(玉川通り)に一時交通規制を行い、一日の乗降客数が11万人を超える二子玉川駅の改札口前や玉川高島屋S・C、二子玉川ライズS.C.を巡って渡御する「瀬田玉川神社神輿(みこし)」などを挙げた。
今年4月末に開業する再開発第2期事業については、世界的な環境認証評価である「LEEDまちづくり部門」において日本初のゴールド予備認証を取得したこと、生物多様性保存への貢献度などを定量評価する「ハビタット評価認証(JHEP)」制度では国内最高ランクの認証を取得したことを説明。30階建ての高層棟に楽天のオフィスとホテル、低層棟にシネマコンプレックス、フィットネスクラブ、商業店舗が入る予定である一方で、「多摩川の川岸段丘や等々力渓谷をイメージした」というルーフガーデンに「花畑の丘」「階段広場」、地域参加型の食育庭園「菜園広場」、国分寺崖線を一望できる「デッキテラス」、多摩川の生態系を学べる水辺空間(ビオトープ)「めだかの池」や多摩川を一望する「青空デッキ」「原っぱ広場」などが整備されることにも触れた。
番組最後でマツコさんへ来街を呼び掛けた小林編集長。出演後には、二子玉川周辺の小学校では今でも授業の中で生徒たちが周辺の農園を訪れて「せたがやそだち」の野菜を収穫し、給食で供されることを明かし、「二子玉川はいろいろな過ごし方、楽しみ方ができる器を持つ街。ぜひマツコさんをイッツコムの番組でお招きして、街歩きツアーを企画していただき、農園で大蔵大根を引っこ抜いたりして『ディープな二子玉川』を堪能していただけたら」とも。