祖師谷でひな人形展-20年以上前の手作りひな人形も

入り口からひな人形一色

入り口からひな人形一色

  • 0

  •  

 世田谷区祖師谷のあかねこうぼう(世田谷区祖師谷4、TEL 03-3482-1818)で現在、ひな人形展が開催されている。

20年以上前、喜多見在住の岩崎和子さんによって手作りされたひな人形

[広告]

 入り口をくぐると、ひな人形一色で出迎えられるこの時期の同工房。紅型(びんがた)染めや戸塚刺しゅう、流しびな、こけしなど、さまざまな顔をしたひな人形が所狭しと並べられる。愛する子どもたちの健やかな成長を願って受け継がれてきた、日本の春の伝統行事「ひな祭り」は、形態は違っても日本各地で地域性を帯びて大切にされてきた。

 展示されているひな人形は、同工房の教室で制作されたものもあるが、多くはオーナーの大嶋夕子さんのコレクション。30年来機織りに従事する中で、日本各地の機織りを訪ねて歩くたびに、自分の娘へのお土産にと買い集めてきたもの。現在の場所に工房を開いた7年前、虫干しをしようと玄関先に並べていたところ、近所の評判を呼び、「ひな人形展」として展示するようになった。

 今回は喜多見在住、現在88歳の岩崎和子さんが娘のために手作りしたひな人形も合わせて展示している。20年以上前、岩槻まで通って習い、3年の月日をかけて制作したというひな人形は、十二単(ひとえ)の一枚一枚や人形の顔の絵付けなども全て手作り。高齢のため、自宅で飾ることが困難になった岩崎さんが、同工房に依頼し、展示が実現した。「昨年、足を運んでくださったのがきっかけでお話を頂いた。展示したひな人形を前にご本人が涙を流されているのを見て、人形に託された思いの深さを感じた」と大嶋さん。実は大嶋さん自身のおひなさまも、戦後の物がない時代、おばあさんが米と交換して手に入れてくれた小さなこけし3つだったと打ち明ける。「ひな人形にはそれぞれに子どもを思う温かい気持ちが込められている。ひな人形を前に難しい顔になる人がいないのはそのせいかもしれない。ぜひ幅広い世代の方に足を運んで心地よいひとときを楽しんでほしい」と話す。

 3月2日にはひな人形を前に、世田谷を中心に活動する「成城ムジカ ダ カメラ」のメンバー原義胤さんらがギャラリーコンサートを開催。フルート、チェロ、電子ピアノが優しく耳慣れたクラシックを奏でる。

 開館時間は10時~17時。入場無料。ギャラリーコンサートは3月2日14時~。入場料は500円(子どもは無料)で事前予約が必要。展示は3月3日まで。

  • はてなブックマークに追加
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース