世田谷・岡本の松本記念音楽迎賓館(世田谷区岡本2、TEL 03-3709-5951)で3月20日、小中高校生対象のセミナー兼コンサート「U18 チェンバロコンサート・勉強会」が開催される。
パイプオルガン、チェンバロ(ハープシコード=發弦式鍵盤楽器)、チェレスタ(金属板を打って音を出す鍵盤楽器)など国内でも希少な楽器をそろえ、音楽ホールやサロン、茶室など館内施設利用を一般にも開放している同館。中でも「Aホール」は、床や壁面、天井に木を使用しているため「チェンバロなど柔らかい音の出る古楽器がとても合う」(横田館長)という。
今回、同ホールで開催するのは18歳以下対象のセミナーを兼ねた体験参加型コンサート。初期鍵盤楽器制作家の山野辺暁彦さんが「若い人たちに演奏の機会と音楽に関連する基礎知識を得るきっかけを与える」ことを目的に、2005年以来、年に3~4回開いている。
山野辺さんは、八王子市にある工房でチェンバロやクラヴィコード(打弦式鍵盤楽器)などを制作しており、各種楽器の貸し出しもしている。元は電気機器関連会社に勤めていたという山野辺さん、「機種の更新に伴って廃れてしまうものでないもの」を自らの手で残したいと、退職して同工房を開いた。「心の豊かさ」に注目し、制作と同時に音楽に携わる18歳以下の子どもたちに「視野を広げる」機会を提供するため「未来のクラヴィコード委員会」をはじめとする普及活動を都内の教会や海外の音楽学校など各所で続けている。
今回のテーマは「イタリア語」。初めに同館の各種楽器に触れながらイタリア語とイタリア語歌をイタリア人から学び、練習時間を挟んでその成果を各自が参加者一同の前で披露する。「語学は音楽を演奏・理解する上で欠かすことのできない基礎知識」と山野辺さん。今後は語学(ラテン語、フランス語)のほかに宗教学、舞踏演劇などの関連芸術史、ギリシャ神話、思想哲学史、世界史などについて講師を招いて開催する予定。「ヨーロッパの演奏をまねるのではなく、その音楽ができた背景からその音楽を追求できるように」と意図を明かす。
セミナー開始時間は13時。演奏コンサート(発表会)の開始は16時。18歳以下であれば初心者も参加でき、保護者や友人の同伴も可能。参加費は無料だが、会場内の募金箱で同活動の支援と協力を呼び掛けている。申し込みは松本記念音楽迎賓館、詳細についての問い合わせは山野辺さん(TEL・FAX 042-635-3784)へ。