二子玉川東第二地区市街地再開発組合は10月31日、同再開発プロジェクトが世界的な環境認証評価である「LEEDまちづくり部門」において日本初のゴールド予備認証を取得したと発表した。
現在工事中の同エリア再開発2期事業(II-a街区、世田谷区玉川1)は、施行面積約3.1ヘクタールで来年4月完了予定。30階建ての高層棟にオフィス、ホテル、低層棟にシネマコンプレックス、フィットネスクラブ、商業店舗等が開業する。高層棟は最上階の工事中でまもなく上棟を迎える。先月10日には施設内の特別高圧受電を開始し、電力供給の整備が完了した。
同プロジェクトが予備認証(本認証は開業後)を取得した「LEED」(Leadership in Energy and Environmental Design)は、非営利団体の米国グリーンビルディング協会(USGBC)が開発・運用している環境性能評価指標。環境に配慮した街づくりや建築物などに与えられる認証システムで、現在世界140カ国以上が取り入れている。
2008年の北京オリンピックの選手村がゴールド認証取得したことを機に、2010年バンクーバーオリンピック(選手村、プラチナ認証)などの国際プロジェクトで爆発的に普及。同認証を得ることで企業のEnvironmental(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治:ガバナンス)配慮が標準的行動となり、不動産投資における価値向上やグリーン経済の確立などにも有効と考えられている。
同認証には、住宅版、テナント内装版や新築の建築物を対象とした評価システム(New Construction,NC)など全部で9つの評価分野がある。今回、同プロジェクトが認証を得たのはエリア開発に関する評価システム「Neighborhood Development(ND=まちづくり)」部門。「標準」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」と4つのランクのうちゴールドだった。
これまでのND認証件数は米国23、中国9、マレーシア3、カナダ2など全39件で、ゴールドランク以上の認証は20件。二子玉川の再開発プロジェクトは世界40件目(ゴールド以上=21件目)で日本初となる。認証範囲は二子玉川ライズ東側に隣接する「区立二子玉川公園」と二子玉川駅西口のドッグウッドプラザを含めた第1期開業エリア、第2期事業エリアを合わせ総面積約18ヘクタール。多摩川や国分寺崖線に近接する自然豊かな環境と共存する「新しい都市生活のスタイルの創出」を掲げている。
同認証においては「田園都市線、大井町線、各種バスとの良好な交通アクセス網を確保していること」「安全で快適な歩行者空間(リボンストリート)を形成し、高密度でコンパクトな開発をしていること」「商業、オフィス、公共施設や多くの住戸パターンを持つ住宅を集積させ、さまざまな年代の人々が多様な目的で集う、複合機能都市を整備していること」「生物多様性を評価する『JHEP認証』で最高ランクAAAを取得するなど生態系の保全に取り組んでいること」「道路等のインフラや建物においてエネルギー資源の高効率化などの環境配慮に取り組んでいること」の5点が高く評価された。
11月6日に開かれた同認証取得説明会で同再開発組合事務局長の松岡泰史さんは、認証への取り組みについて「2011年3月の東日本大震災がきっかけだった」と第2期工事着工後に計画変更があったことを明かした。都市が抱えるさまざまな課題、公害や災害、エネルギーや水の問題などへの配慮を満たすことで「サステイナブル(持続可能)な新世代型『田園都市』のフラッグシップタウンを目指す」と意気込む。
来年8月に楽天(品川区)が本社移転し26フロアに入居する高層棟オフィスも、新築の建築物対象の評価システム「NC」認証を取得する予定。