二子玉川ライズのルーフガーデン(世田谷区玉川1)に7月24日、夏季限定で「多摩川生きもの水族館」が開設された。
水族館が開設されたのは二子玉川ライズショッピングセンター・テラスマーケットの屋上3階~5階にあるルーフガーデン。同所は2015年4月に同S.C.の開業と同時に一般へ開かれた屋上緑化を取り入れた空間で、「エコミュージアム」という思想に基づき、地域社会における人間と自然のつながりを科学的に探究し、貴重な生態系を体感できる場所を創出している。
国分寺崖線と多摩川の中間に位置する同S.C.が、生物ネットワークを途切れさせることなく、中間地点として鳥や昆虫などの生き物が生息することができるようさまざまな工夫が凝らされている。
敷地内には原っぱ広場(5階)、青空デッキ(5階)、菜園広場(3階)、めだかの池(4階)などが整えられ、来場者が地域の豊かな自然に触れることができる。開業から2年がたち、さまざまな植生物が育っていることから、春にはカルガモのつがいの飛来も確認したという。
二子玉川の最大の自然資産とされる多摩川の魚を展示しているのは、めだか池(ビオトープ)近くのデッキスペースのレクチャースペースで、人々が集まって学ぶことができるようにホワイトボードやパンフレット設置棚などを備える。屋根の下にあるため、日差しを避けて休息する人々の姿が多く見られる。
壁に掛けられた「多摩川生きもの水族館」と自然豊かな多摩川についての説明ボードの下には4つの水槽(大1、小3)を据える。多摩川で捕まえた魚を常時約10種類展示する。
同水族館の管理と運営はNPO法人「せたがや水辺デザインネットワーク」。週に4回、スタッフが魚を入れ替え、水槽の清掃を行う。
管理責任者の同NPOの中西修一さんは河川環境の専門家。首都圏の一級河川でありながら護岸化されていない部分が多く、川辺の野草や野鳥も数多く見られる自然豊かな河川である多摩川の価値を伝え続けてきた。「近年の多摩川の水質改善のシンボルともいえるアユが、二子玉川駅の高架下で産卵する街であることを、住民や在勤者や来街者に視覚的に伝えたい」と、2014年ごろから水族館の設置を各所に提案してきた。
構想は約3年の時を経て、生物多様化を高める事業を評価する「ハビタット評価認証制度(JHEP)」の最高ランクトリプルAを取得する二子玉川ライズの同所で実現した。中西さんは「NPOが多摩川で毎月実施している『水辺ガサガサ』の参加者が、自ら捕まえた魚を再びこの場所で、楽しく眺める場所になったらうれしい」と話す。主に水槽の管理を担当する同NPO「水辺女子」の工藤美紀さんは「メンテナンス作業の時に来館のいろいろな方に質問を受ける。その交流がとても楽しい。自分たちが住む近くの川で生きる魚に水族館で興味を持ってもらい、その後実際に川へ体験にきてもらえるようにしたい」と意気込む。
水族館の設置は9月30日まで。ルーフガーデンの開場時間は7時~21時。悪天候時は閉鎖する。