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静嘉堂文庫美術館で「東洋の至宝」展-現存3巻の「平治物語絵巻」の一巻も

合戦絵巻の傑作「平治物語絵巻 信西巻」(重文)鎌倉時代 13世紀

合戦絵巻の傑作「平治物語絵巻 信西巻」(重文)鎌倉時代 13世紀

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 静嘉堂文庫美術館(世田谷区岡本2、TEL 03-3700-0007)で現在、「受け継がれる東洋の至宝Part1 東洋絵画の精華」展が開催されている。

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 静嘉堂文庫創設120周年・美術館開館20周年を記念して企画された特別展の第1弾となる同展。前期(4月14日~5月20日)には日本絵画、後期(5月23日~6月24日)には中国絵画の中から国宝4件や重要文化財30件を含む約70件を展示する。

 鎌倉時代から江戸時代にかけて、日本では仏画や垂迹(すいじゃく)画、室町水墨画、琳派(りんぱ)、円山四条派、文人画、浮世絵など、多岐にわたるジャンルの絵画が描かれた。同展では、合戦絵巻の代表作「平治物語絵巻 信西巻(しんぜいのまき)」(鎌倉・13世紀)や、金箔(きんぱく)を切り貼りする細微な技法を用いた「普賢菩薩像(ふげんぼさつぞう)」(鎌倉・13世紀)、墨の繊細なタッチで表現する水墨画に詩文をともなった詩画軸「蜀山(しょくさん)図」(室町・15世紀)、琳派の代表的な画家の一人、酒井抱一の「絵手鑑」(江戸・19世紀)や円山応挙の「江口君図(えぐちのきみず)」(江戸・寛政6年)など、名品の数々で絵画史の流れをたどることができる。

 「バラエティー豊かな作品を取りそろえているので、自分の好きな絵画のジャンルを見つけることができるのでは」と担当学芸員の大橋さん。「日本の画家たちは中国の影響を多く受けてきた。室町時代の画僧や禅僧らも中国の水墨の世界を尊び、詩文や絵を制作していた。『蜀』という土地への憧憬(しょうけい)の思いを重ねてみることができる『蜀山図』もその一つ。後期に展示を予定している中国絵画と併せて見ると、日本の画家がどのような中国の絵画を取り入れていたかがうかがえる」とも。

 世界に現存は3巻といわれる「平治物語絵巻」。この時期、東京国立美術館に他の2巻がそろい、同館と合わせ残存3巻全てが東京にお目見えする。「当館所蔵の『信西巻』では、合戦や行幸などを描いた他の巻とは異なり、緑青を多用した風景表現が見られる点でも貴重」だという。

 開館時間は10時~16時30分(入館は16時まで)。月曜休館(祝日の場合は開館、翌火曜休館)。入場料は、一般=800円、高校生・大学生=500円、中学生以下無料。同館学芸員による列品解説も行う(日本絵画は4月26日=14時~、5月5日・12日=11時~。中国絵画は6月9日=11時~、6月14日・21日=14時~)。

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