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成城大院生がハヤカワSF大賞-ペンネームは「柴田勝家」、武将の風貌も話題に

「柴田勝家」こと綿谷翔太さん

「柴田勝家」こと綿谷翔太さん

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 成城大学大学院(世田谷区成城6)に在籍する綿谷翔太さんが執筆した小説「ニルヤの島」が、「第2回ハヤカワSFコンテスト」で大賞を受賞した。

綿谷翔太さん・成城学園創立者 澤柳政太郎の胸像とともに

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 同コンテストは、1961(昭和36)年から1992年までの間に「ハヤカワ・SFコンテスト」として18回開催した後休止したが2012年に再開。「日本のSF小説の振興を図るために始まった新人賞」という位置付けで、中編・長編のSF作品を対象とし、最も優れた作品に「大賞」を与える。

 綿谷さんは、同大学院文学研究科日本常民文化専攻1年生の27歳。受賞した作品は「人間と信仰について日頃学んでいる民俗学を掘り下げ、未来を想像することで生まれた」という。所属する文芸部(部活動)が年に4回発行している部誌「萬屋夢幻堂」の2012年春号に同作品を掲載した後、2年を経て同コンクールへの応募に至った。15年の歴史を持つ同部で同コンクールの受賞は初という。 

 「小さいころから妖怪などが好きだった。高校のころからはその背景にある民俗学に興味を持ち、民俗学の分野で有名な成城大に進んだ」と同大へ進学した理由を明かす綿谷さん。「民俗学で人と信仰の『今』を学びながら、その未来をSF小説で表現している。研究と執筆がつながっている」と話す。同賞を受けたことについて「過去には小松左京さん、筒井康隆さんらも受賞しているコンテストで自分が賞を頂くとは、身の引き締まる思いだがうれしい」と笑顔を見せる。

 12月1日に行われた授賞式にはかま姿で出席した綿谷さん。濃いひげを蓄えた風貌で自分を「ワシ」と称し、控室では得意の謡曲「敦盛」を選考委員らを含む同席者に披露。ペンネームの「柴田勝家」と相まって、ネット上でも「キャラが濃すぎるSF受賞者の出現」と話題になっている。

 綿谷さんは同作品について「自分を映す鏡のような作品。読み手の年代や立場など、それぞれで受け取り方が変わり見つかる答えも変わるので、自分なりの読み方で読んでいただければ」と話す。今後の活動については「これからも民俗学や文化人類学の視点でSFを書いていきたい。来年には次の長編SFを書けたら」と意欲を見せる。

 同作品の価格は1,600円。

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