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世田谷美術館で「桑原甲子雄の写真」展-昭和の東京、世田谷ボロ市風景も

展示会場入り口の様子(19日)

展示会場入り口の様子(19日)

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 世田谷美術館(世田谷区砧公園1、TEL 03-5777-8600)で4月19日、「桑原甲子雄の写真 トーキョー・スケッチ60年」が始まった。

作品展示の様子(1960-70年代 「地下鉄玉川線(東急田園都市線)」1978年<東京長日>など)

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 戦前期に生まれ育った東京の下町を「アマチュア写真家」として撮り歩き、戦後は「カメラ」「サンケイカメラ」「写真批評」など数々の写真雑誌の編集長を務めた桑原甲子雄。その後は写真批評の第一線で活躍し、1960年代半ば以降から2007年に亡くなるまで、初個展の開催や「東京昭和十一年」「東京長日」といった写真集の発売を通して写真家としての脚光を浴びた。

 同館は1993年の「ラヴ・ユー・トーキョー 桑原甲子雄・荒木経惟写真展」の開催以降、桑原甲子雄の作品の収集を開始。2005年に「ウナセラ・ディ・トーキョー――残像の東京物語1935~1992」展、2012年に世田谷文学館との共同企画「都市から郊外へ――1930年代の東京」展と同作家の写真を紹介してきた。

 4回目となる今回は、自らを「日曜日の写真家」と称した桑原の個展で、「桑原の仕事の全体像を見渡す初の機会」(同館)。「東京下町の生活者としての地平から足を浮かさない目」による、二・二六事件発生の1930年代半ばからバブル景気に沸く1990年代初頭までの約60年にわたる「ごく私的な記念写真」を、同館所蔵193点と東京都写真美術館からの16点、そのほか11点を合わせて全220作品を展示する。

 同展では、「東京昭和十一年」「夢の町」「東京戦後」「東京長日」「東京暦日」「午後の微笑」といった、桑原が集中的に撮影したシリーズをその展開に即して紹介。「世田谷ボロ市」(1936年)、「地下鉄新玉川線」(1978年)、馬事公苑や東急田園都市線用賀駅前を写した作品(いずれも1992年)など世田谷の風景も数多く展示され、ほかに1978年に桑原が初めて訪れたパリを捉えたモノクロプリントとカラースライドも公開している。

 会期中は写真史家・金子隆一さんによる講演会や、美術館で演劇を作るワークショップ「えんげきのえ」、俳優の斎藤晴彦さんが1936(昭和11)年の流行歌を歌うライブのほか、撮影地を実際に巡る「TOKYOパノラマウォーク―写真家と歩く東京――」など多彩な関連イベントも開催される。

 開館時間は10時~18時(入場は終了の30分前まで)。月曜休館。入場料は、一般=1,000円、65歳以上と高校生・大学生=800円、小中学生=500円。6月8日まで。

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