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岡本「無名塾」が40周年 稽古場で1日50席限定「バリモア」記念公演

無名塾・仲代劇堂に掲げられている看板

無名塾・仲代劇堂に掲げられている看板

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 今年で設立40周年を迎えた俳優・仲代達矢さん主宰の「無名塾」(世田谷区岡本1、TEL 03-3709-7506)は7月4日から、「仲代劇堂」内稽古場で舞台「バリモア」を上演する。

公演が行われる仲代劇堂稽古場の様子

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 同塾は1975(昭和50)年春、仲代さんと妻の故・宮崎恭子さんの自宅稽古場へ若手俳優らが芝居談議に集い、「自然発生的に」稽古が行われたことが始まり。「無名に戻ったつもりで」修業に帰ってこられるような、回帰修業の場所という意味も込めて「無名塾」と命名された。

 1977(昭和52)年から塾生の一般公募を開始し、マンツーマンによる3年間の修業で礼儀作法から歩き方・発声など、役者としての基礎を伝えている。役所広司さん(1978年入塾)、益岡徹さん(同1980年)、若村麻由美さん(同1985年)、渡辺梓さん(同1987年)など、映画・テレビなどで活躍する俳優を多数輩出。現在は約30人が「塾員」として在籍している。

 1932(昭和7)年生まれで小学校低学年のころから世田谷の瀬田・岡本地域に在住の仲代さん。砧公園を中心としたウオーキングで体力づくりに励み、用賀や二子玉川駅周辺になじみの店も多いという。半世紀以上、二子玉川エリアで生活し、街の姿の変化を眺めてきた。

 1994年には岡本の閑静な住宅街に外国の城のレンガを建物外壁に利用した「仲代劇堂」を建て、同所から「演劇文化」を発信。同塾生らが「無名坂」と呼ぶ、国分寺崖線を上がった場所に立つ「この場所・地域からしか生まれない何か。そういうものを置き忘れず、大切にしてほしい」と訴える。

 「演劇は手作りの文化。手間暇をかけて作り上げるもので、効率性を追求することとは対極にある」と仲代さん。役者は「生涯修業」と言い、「中身が伴わないものであれば明日にでも閉じると明言しながらやってきた」と、設立から40年続いたことに自身の驚きを隠さない。

 同劇堂での上演は2013年の「授業」以来、今回で2回目。昨年11月に世田谷パブリックシアター・シアタートラムで初上演し、実在の米国俳優ジョン・バリモアの晩年を描いた作品「バリモア」の再演を望む多くの声に応え、1日限定50席で15日間上演する。バリモアを演じる仲代さんの息遣いを感じるほどステージとの距離が近い同劇堂での公演は、「シアタートラムとはまた異なった空間となるだろう」と話す。

 最近では、建物前に貼ったポスターなどを見て、散歩がてら同塾の見学に立ち寄る人もいるという。現在、近隣住民との交流会なども企画しているほか、「無名塾40周年記念」として「おれたちは天使じゃない」(10月31日~11月 15日=能登演劇堂、来年3月5日~13日=世田谷パブリックシアター)の上演が決まっている。

 「バリモア」の上演は7月4日~20日。チケットの前売り開始は5月11日10時~。料金は一般=8,000円、学生=5,000円。上演時間は日によって異なる。

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