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世田谷美術館で「ピーターラビット展」 初公開の絵手紙や彩色画など一堂に

展示の様子

展示の様子

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 世田谷美術館(世田谷区砧公園1)で3月26日、「出版120周年 ピーターラビット展」が始まった。

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 1902(明治35)年に刊行された絵本「ピーターラビットのおはなし」の出版120周年を記念して開く同展。「盛大なバースデイパーティー」をテーマに、ピーターラビットの誕生前夜から今日に至るまでの歩みを振り返る。

 「ピーターラビット」の絵本は、作者のビアトリクス・ポターが1893(明治26)年、自身の元家庭教師の息子ノエル・ムーアが病気で寝込んでしまった際、励ますために書いた絵手紙が原点。その絵手紙を絵本にしたいと考え「ピーターラビットのおはなし」を自費出版、1902(明治35)年にロンドンの出版社フレデリック・ウォーン社から商業出版されて以降23作品を出版し、「ピーターラビット」シリーズの累計発行部数は、全世界で2億5000万部に上る。

 4章で構成する場内では、日本初公開のスケッチやイラストレーション、私家版や草稿本、原画、関連アイテムなど約170点を公開する。第1章「ピータラビット誕生以前」では、ピーターラビットのモデルとなったビアトリクスが飼っていたウサギ「ピーター」をモデルにして描いたスケッチや水彩画、挿絵画家時代の作品、グリーティングカード用に描かれた作品を紹介。

 第2章「ピーターラビットのおはなし」では、作品の原点である「ノエル・ムーア宛ての絵手紙」の直筆オリジナルを日本初公開するほか、最初の絵本「ピーターラビットのおはなし」の彩色画全点を作者が当初構想した絵本のすがたで初展示する。

 第3章「広がるピーターラビットと仲間たち」は、「ベンジャミン・バニーのおはなし」、「はりねずみティギーのおなはし」などシリーズ作の草稿やスケッチ、初版本を紹介するほか、「ピーターラビットのおはなし」をもとに制作された「ピーターラビットの塗り絵帖」、フランス語やドイツ語などに翻訳された初版本を展示する。

 最終章「ピーターラビットの世界」では、ポターが自ら監修し100年以上前に作られた「ピーターラビットのぬいぐるみ」などの関連アイテムをはじめ、ポターが考案した「ピーターラビット・ゲーム」、慈善団体「ICAA(疫病児童援助協会)」のためにデザインしたグリーティングカード、日本で初めて「ピーターラビットのおはなし」が紹介された雑誌や日本語版初版本などを紹介する。会場には、同展のために英国湖水地方のザ・ワールド・オブ・ビアトリクス・ポター・アトラクションが作成した高さ180センチのバースデーケーキを展示し、出版120周年を祝う。

 同展監修者でビアトリクス・ポターの研究をしている大東文化大学教授・河野芳英さんは、ピーターラビットの作品が長く愛される理由について、「後ろ姿で悲しさを表現するなど、ウサギの表情をデフォルメしないところにリアリティーがある。ストーリーもハッピーエンドではなく、あえて曖昧にしているところも、何回読んでも飽きない理由なのでは」と話す。

 公式サポーターには、俳優やシンガー・ソングライターとして活動する松下洸平さんが就任。ナビゲーターを務めた音声ガイド(利用料600円)も用意する。

 期間中、同美術館併設のフランス料理店「ル・ジャルダン」では、同展とのコラボメニューを用意。ピーターラビットの世界観とポターの出身地英国を代表する料理を楽しめるコースを提供する。(料金=5000円、1日20食限定。)

 開館時間は10時~18時(入場は17時30分まで)。月曜休館(5月2日は開館)。入館料は、一般=1,600円、65歳以上=1,300円、大・高校生=800円、中学・小学生=500円。公式チケットサイト限定の特別限定グッズセット券は、「ロルバーン ポケット付メモL」セット券=2,400円、「九谷焼小皿」セット券=4,000円。6月19日まで。

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