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砧の社会福祉施設「砧工房」、津波を生き残った石巻の卵を販売

被災地石巻の卵を販売している「砧工房」施設長中野さん(左)と卵担当の西野さん(右)

被災地石巻の卵を販売している「砧工房」施設長中野さん(左)と卵担当の西野さん(右)

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 世田谷区立の社会福祉施設「砧(きぬた)工房」(世田谷区砧4、TEL 03-3417-4604)が現在、石巻の社会福祉法人「ひたかみ園」が運営する養鶏場の卵「金華卵」を販売している。

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 震災から約1カ月後の4月、同施設長の中野雅義さんが石巻市の知的障害者入所更生施設「ひたかみ園」に見舞いに訪れた。グループホームが津波で流されコミュニティーセンターが水没するなど、同園の関係する施設も津波や地震の被害を受けたが、授産施設の養鶏場は小高い丘にあり、津波が目の前に迫ったものの奇跡的に難を逃れたという。しかし、卵の卸先だったケーキ店などが津波で流され卸先が無くなってしまっていた。「卵の卸先が無ければ収入源が断たれてしまう。何とか施設の利用者が『働く』ことを支援できないか」と、中野さんはこれら売り先の無くなった卵を砧工房で販売することを決めた。以来毎週、50パック~100パックほどの卵を取り寄せて販売を続けている。

 販売しているのは、ボバンスブラウンノーバという品種の鶏から生まれる「金華卵」。製菓に使われる高級な品種で、自然に囲まれた環境で平飼いされ、無農薬発酵飼料を与えており天然ミネラルやDHAが豊富に含まれ、コクがあるという。

 価格は、1パック10個入りで550円。輸送費を負担しているため同施設としてのもうけは無いが、「被災地のために恒久的にできる支援」として、毎週現地から仕入れ販売を続けている。今後の地域のイベントなどでも販売を予定。現在は夏季で卵の産数が少なめのため、購入希望者は事前に卵担当の西野さんまで問い合わせが必要。

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