「世田谷育ち」のサケの稚魚、地元児童が放流-3年後の遡上待つ

多摩川にサケの稚魚を放流する児童

多摩川にサケの稚魚を放流する児童

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 二子玉川駅近くの多摩川河川敷で2月11日、山野小学校の児童がサケの稚魚を放流した。

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 多摩川サケの会と同校の共同企画。「もともと、サケを放流して戻ってくるのを待ちながら河川浄化運動を展開しようという市民の環境意識啓蒙が主な活動目的だった」と同会会長の阿部慧爾さん。以前は、ふ化場で数万尾規模の飼育を行い、放流式で一般市民も参加して放流していたが、近年は、1999年にはふ化場からも撤退し、学校での飼育・観察・放流を通した環境教育に絞って活動に取り組んでいる。

 同校では5年前からサケ飼育を担当する橋本由美子教諭と共に放流を始めた。例年、福島県浪江町から卵を分けてもらっていたが、今回は、昨年の東日本大震災の影響もあり、茨城から分けてもらった。「学校では、魚についてメダカでも勉強するが、サケの方が卵から稚魚になるまでの毎日の変化がわかりやすい。自分たちで育ててみてわかることも多い」と、今年は水槽で100個の卵を育てた。

 例年は5センチくらいまで大きくなってから放流するが、今年は、寒さの影響もあって稚魚は3~4センチほど。小さめのサケを多摩川の水に慣らすために、川原近くの水を石で囲ってから稚魚を放した。「学校の水槽で飼っていたサケが、どうやって川へ泳ぎだすのか見てみたかった」と参加した児童。橋本先生は「サケを手掛かりに、川についても学んでほしい」と児童らに思いを伝えた。

 放流したサケは3~4年後の冬に遡上(そじょう)する見込み。東京湾は入り組んでいるため、外海から川へダイレクトに入れる場所よりは戻りづらいという。多摩川に帰ってきたサケ1号は、世田谷区教育センター(世田谷区弦巻3)2階に展示されている。

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