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休館直前の静嘉堂文庫で「描かれた風景」展-富士山眺望と「富士山図」も

館内に設けられた「西行法師坐像」には「撮影コーナー」

館内に設けられた「西行法師坐像」には「撮影コーナー」

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 「静嘉堂文庫美術館」(世田谷区岡本2、TEL 03-3700-0007)で現在、「描かれた風景~絵の中を旅する~」展が開催されている。

室町時代の名品「堅田図旧襖絵」

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 三菱第2代社長岩崎弥之助と第4代社長小弥太の父子2代によって収集され、国宝7点、重要文化財83点を含む、約20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と6500点の東洋古美術品を収蔵する同館。「明治期の西欧文化偏重の世相の中で、軽視されがちであった東洋固有の文化財を愛惜し、その散亡を恐れた」弥之助により、1892(明治25)年ごろから本格的な収集が開始された。父・弥之助の収集が絵画、彫刻、書跡、漆芸、茶道具、刀剣など広い分野にわたるのに対して、子の小弥太は特に中国陶磁を系統的に集めている点が特色。

 同館は1924 (大正13) 年に建てられた図書収蔵庫と、静嘉堂創設百周年を記念して1992年に建設された新館により構成される。世界に3点しか現存していない中国・南宋時代の国宝「曜変天目(稲葉天目)」をはじめとする所蔵品など、年間4、5回の展覧会でテーマ別に公開しているが、施設内設備の改修工事に伴い同展終了後から2015年秋までの約1年半休館する。

 休館前最後となる同展は、「富士山の見える美術館で、古今東西名所めぐり」をコンセプトに、室町時代の名品「堅田図旧襖絵(ふすまえ)」を「久々に」公開し、近世初期風俗画の傑作として知られる重要文化財「四条河原遊楽図屏風(びょうぶ)」をはじめ、世界文化遺産登録で話題となった富士山を描いた作品、「門外不出のため鮮やかな色彩の残る」歌川国貞(三代豊国)・広重の浮世絵などを出品。古今東西の描かれた名所を一堂に展示することにより、「日本人が愛した風景」の様相を探る。

 「普段見慣れた景色やまだ見ぬ日本の風景がどのように描かれてきたのか。当館で時空を超えた旅をお楽しみいただければ」と学芸員の大橋美織さん。同展の企画に当たり、会期中に作品と併せ実際の富士山眺望を楽しんでもらうため、庭園の大規模な剪定(せんてい)を行ったと明かす。国分寺崖線上に建つ同館の庭園内南側斜面の梅園は現在見頃を迎え、甘い匂いを漂わせている。

 開館時間は10時~16時30分(入場は16時まで)。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入場料は、一般=800円、高校生・大学生=500円、中学生以下無料。3月16日まで。

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