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瀬田四丁目広場で「入棺」体験-青山学院大WSD修了生世田谷チームが企画

入棺ワークショップの様子・ふたを閉めて2分ほど入棺する

入棺ワークショップの様子・ふたを閉めて2分ほど入棺する

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 世田谷区立「瀬田四丁目広場」内の「旧小坂家邸」(世田谷区瀬田4)で12月6日、ワークショップ「私がお棺に入るまで」が開かれた。

入棺ワークショップの様子・お棺の中から見た風景

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 国分寺崖線上の縁辺部に立つ同敷地内にある旧小坂家邸は、世田谷区から1999年に有形文化財、今年3月に「第3回地域風景資産」選定を受けた昭和初期の建築物。現在は「世田谷トラストまちづくり」が公開管理を行い、2012年1月より地域住民が中心となり、さまざまなワークショップやイベントを開催し同広場の利活用に当たっている。

 今回のワークショップの企画を中心となって進めたのは、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム(WSD)の修了生で自主サークル「ワークショップデザインラボ世田谷支部」のメンバー8人。WSDは社会人向けのプログラムで、地域などでワークショップ(参加体験型活動プログラム)を企画・運営する専門家の養成を目的とする。120時間のカリキュラムを修了すると「ワークショップデザイナー」の専門職として履修証明が授与される。これまでの受講者総数は約1000人。

 同メンバーの松田啓子さんが「一般社団法人これから楽交(がっこう)」が実施する「入棺体験会」に参加したことから、同様の企画をサークル内で提案。松田さんの提案を受け、同広場の利活用検討ワークショップでも活動していた中村紀子さんが同所での実施をコーディネートし、開催にこぎ着けた。

 ワークショップは木造和風平屋建てで南に面する主屋棟で、参加者同士の自己紹介から始まった。その後、西側の応接棟、東側の台所や浴室などの生活棟、南東側に渡り廊下を介して内倉、その奥の2階建ての寝室棟を巡りながら、各所に置かれた「問い掛け」にその都度応えることで「自分にとって一番大切なもの」を見つける作業の後、1人ずつ順番に別室で入棺を体験した。

 ひつぎは「ウィルライフ」(港区)が実際に販売している「ecoffin iS」で、サイズは長さ191.5センチ×幅59センチ×高さ41.5センチ。素材は国産杉の間伐材をエッジ部分(骨組み)に用いる以外はすべて強化ダンボール。価格は6万円。1棺につき1,000円が森林保全団体「モア・トゥリーズ」へ寄付されるほか、モンゴルで展開する「エコフィン生命の森」に1本植林されるという「循環型プロジェクト」製品。

 午前の部に10人、午後の部に9人が参加し、入棺体験した後、互いに感想を共有した。午後の部に参加した50代の男性は「人生の折り返し地点で一度『死んでみる』経験をしてみたいと思い参加した。意外と安らかな気持ちになった」と話し、ほかにも「小さなころ、押し入れに入った時のことを思い出した」「ほっこり暖かくて眠くなった」「妻のことを考えた」など、さまざまな感想が出された。

 松田さんは「入棺体験は『終活』ではない。入棺という『疑似の死』を通して人生には締め切りがあることを知り、自分の大切なものに気付いて今ある『生』を喜んでもらえたら」と意図を明かす。

 今後の開催は今のところ決まっていないが、参加者から大きな反響が寄せられていることから「旧小坂邸以外にも世田谷を中心にシェアハウスなどのシェアスペースでの実施を前向きに考えている」といい、「ぜひお問い合わせいただければ」と呼び掛ける。

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