世田谷区玉川野毛公園近くの「木村ぶどう園」(世田谷区野毛2)で2月15日から、光のアートイベント「世田谷 LIGHTS IN FARM」が開かれる。
国分寺崖線丸子川沿いの豊かな自然を残す場所にある同園。園内にはブドウ棚やイチゴ畑、竹林などがあり、「都会に住む人たちが親子で散歩がてら立ち寄れる近所の農園」として「植物や畑を観察する時間をじっくり持ち、帰宅後に採れたての果物を畑の様子を思い出しながら味わってもらいたい」(同園主木村孝一郎さん)と、季節ごとにブドウ狩りやイチゴ摘み取りなどの機会を設けている。
同園を舞台に光のイベントを開くのは「世田谷 LIGHTS IN FARM実行委員会」。中心メンバーはいずれも早稲田大学社会科学部卯月盛夫研究室の「世田谷班」の5人。同ゼミの研究テーマは「都市・コミュニティーデザイン」で、住民参加による道路や公園、広場や建築の計画設計、景観や交通、環境や福祉に関するまちづくりの計画策定などの研究と実践活動を行っている。
総勢約60人が所属する同ゼミでは、世田谷のほか宮城県松島町などさまざまな街で活動を展開しているが、世田谷班の活動のきっかけは、卯月教授がかつて同区都市デザイン室主任研究員で世田谷まちづくりセンター所長を務めたことから。また、2007年に「アートを通して農地の保全・活用を模索・提唱する」ことを目的に東京都立川市で始まった「ART IN FARM」の活動を通じ、同園の木村さんとのつながりが生まれた。
同班代表を務める石丸諒さん(3年)は「冬の間、使われていない畑のスペースなどを舞台に、『人が集まるイベント』を開催することでよりコミュニティーに開かれた場となるのではと考えた」と話す。子どもも対象としたイベントとして「イルミネーション」を発案したという。
イベントの内容は、和紙や風船、LEDランプを使って作る「光のアートワークショップ」(2月8日、時間未定)、電気などの「光」を使ったアート作品約15点を夜間の農園内に一同に展示する「光のアートコンテスト」(2月15日~21日、17時~20時)の2つ。特に「光のアートコンテスト」は現在、作品の出展者を募集中で、イベント期間中には「市民投票」によるコンテストを開き、最優秀賞受賞者に賞金3万円を贈呈する。
同班のメンバーは全員世田谷区外在住のため、野毛の街を一から知るために夏頃からさまざまな調査や準備を重ねてきたという。メンバーの渡邊優香さんは「街の人々とつながることから始めた。企画への賛同をいただくための地域での関係作りには大きなエネルギーが必要だと思った」と開催までの道のりを振り返る。石丸さんは「この活動は続けることに意味がある。ゆくゆくはこの場所で毎年恒例のイベントとして開催されるよう、なんとか今回成功させたい」と意気込む。
イベントの詳細や作品募集についてはフェイスブックページで順次告知する。