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世田谷美術館で駒井哲郎展-銅版画家パイオニアの作品500点

駒井哲郎 詩画集『人それを呼んで反歌という』(1966年 エスパース画廊刊)表紙、1965年福原コレクション(世田谷美術館蔵)

駒井哲郎 詩画集『人それを呼んで反歌という』(1966年 エスパース画廊刊)表紙、1965年福原コレクション(世田谷美術館蔵)

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 世田谷美術館(世田谷区砧公園1、TEL 03-3415-6011)で現在、リオープン企画展「福原コレクション-駒井哲郎1920-1976」が開催されている。

駒井哲郎 ≪帽子とビン≫1975年 福原コレクション(世田谷美術館蔵)

 同館で駒井哲郎の作品が紹介されるのは、2000年の「福原コレクション寄託記念 駒井哲郎展-夢の水脈 銅版画とブックワークに通うもの」に次いで2回目。駒井哲郎は戦後日本に銅版画の世界を切り開き、定着させたパイオニアとして知られる。東京・日本橋の裕福な家庭に生まれ、15歳でエッチングと出会い、56歳で亡くなるまで銅版画による表現を追求した。人生の岐路ごとにさまざまな技法を用いた駒井芸術の全容を、同館に寄贈された約500点のコレクションを通じ、前後期に分けて紹介している。

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 現在公開しているのは、1961(昭和36)年から晩年にかけて新たな展開を模索した後期の作品。銅版の表面に施された防蝕剤を針などで掻きとって、腐食させることで凹凸を表現していたこれまでの線画のエッチング表現に加え、微妙な明暗の加減を表現できるメゾチント技法や、版に直接インクなどを用いて描画し、その上に紙をのせて転写する一点もののモノタイプの作品を紹介する。「花と果実」など、水彩やパステル画をほうふつとさせるカラーを使った作品が多く見られるのも後期の特徴。病に倒れた晩年は白と黒の世界に立ち返り制作した「日本の四季」や、エッチングとしては絶筆となった「帽子とビン」などを残している。

 ライフワークとして詩画集などの挿絵を精力的に手掛けた。「ヨーロッパでは挿絵はすでに確固たる地位が確立されていた。文学的資質のあった駒井は、まだその重要性が認知されていない日本でも根付かせたかったのでは」と同館学芸部長の清水真砂さん。詩人・安東次男とタッグを組んだ詩画集「人それを呼んで反歌という」では両者の才能のぶつかり合いを見ることができる。

 清水さんは「版を刻む時間や、自分の手を離れてプレス機から出てくるのを待つ時間など、銅版画の持つ制約とも思える時間的なプロセスが、彼の場合は表現の源にもなったのでは」と、駒井哲郎が生涯かけて銅版画表現にこだわった背景を分析。「だからこそ小さな画面の中の奥行きの深い叙情的な世界は人を引き付け、見る者にいろいろなことを考えさせる」とも。「駒井自身の心の振幅は幅広く、作品もバラエティーに富んでいる。身近なものをモチーフにしたかわいい図柄や、繊細なタッチの作品、モダンな表現などさまざまな作品の中から気に入った作品を見つけてもらえれば」と話す。

 会場では、前半の「前期」の展示を見逃した来場客のために前期作品もダイジェストで展示。道具やプレスなども展示し、技法に関心がある人も楽しめる内容になっている。

 開館時間は10時~18時(入場は終了の30分前まで)。月曜休館。入場料は、一般=1,000円、65歳以上と高校生・大学生=800円、小中学生=500円。7月1日まで。

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